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ぷるんぷるるん

女の子に気持ち良くいじめられるM男向け官能小説公開中。

16.倒錯的恋愛


 痙攣を続ける俺の身から茜が離れていく。
 とっくに刺激は止んだはずだが、その余韻だけで俺は絶頂し続けていた。
 全身へと広がった甘い快感に酔い痴れるばかりだ。
 情けない顔をして全身を震わす俺を見下ろし、彼女は笑みを漏らしていた。
 ややして、俺が徐々に落ち着きを取り戻し始めると茜は言った。

「郡山くんに、一つ謝らないといけないことがあるの」

「はあ……はあ……。い、一体なんだ?」

「実はね」

 そこで言葉を区切った彼女が、箱から取り出したのは、俺が壊してしまったものとそっくりな小さな鍵だった。

「ちゃんと予備があるの」

「あ、ああ……」

 俺は何と言えば良いのか分からずに、曖昧な相槌を打った。
 何より先に感じたのは安堵だが、やや残念にも思ってしまう。二度とペニスを刺激することが出来ない。男としての存在を否定されているような状況で身体を弄ばれた末に迎える絶頂の悦びを知ってしまったからだ。
 茜の手によって鍵が外され、貞操帯を取り除かれる。
 大量の我慢汁で濡れ光るペニスは、水を得た魚のようにむくむくと膨らんでいった。

「どうして貞操帯を外したと思う?」

「え?」

「ふふ、焦らされてる郡山くんも好きだけど、やっぱりおちんちんで気持ち良くなってる時の貴方が一番好き」

 そう告げる彼女の手には、包帯が握られている。
 散々弄ばれ、責め立てられ、未だに思考がまともに回らない俺は、ただ彼女の言葉に胸をドキドキさせるばかりだ。されるがままに、包帯で目元を覆われる。
 
「……絶対に自分では動かないでね」

「わ、分かった……」

 この辺りで、ようやく俺は「もしや」と考え始めた。
 遮られた視界の向こうで、茜がボンテージを脱ぐような気配がするのを認めて、俺は生唾を飲んだ。
 茜はもう一度、動かないで、と念を押した。
 それに頷いて答えると何かがペニスに触れた。
 熱く湿った感触によって、男根は腹側へと押し倒される。
 ぬちゃり、という湿った音と共に、柔らかなものに撫でられる感覚。

「……素股っていうんだっけ?」

 どこか上擦った茜の声がそう問い掛けてくる。
 そうか。俺は素股されているのか。

「素股……」

 ぼんやりと俺が呟くと、ペニスがニ、三続けて撫で擦られた。
 粘着質な音が響き、俺の腰が大きく震えた。
 互いの生殖器が擦れ合う快感に、俺はまたしても己を失い始めていた。
 肉棒を撫でているのが、茜の性器だという事に堪らなく興奮してしまう。
 指で触るのとは異なり、男根では正確に形を捉えることが出来ないが、確かにそれは割れ目だと言えた。
 熱く火照り濡れそぼった縦長の窪みと、その柔らかな外縁、大陰唇の存在を感じられる。

「あっ、茜!!」

 思わず声を上げて、彼女に向かって腕を伸ばす。
 しかし、先手を取ったのは茜だった。

「動かないで」

 静かに言いながら、俺の乳首を両手の指でそれぞれ摘み上げた。
 俺は呻き声を上げると同時に、動きを止めた。
 止めざるを得なかった。
 貞操帯を付けられた状態で受けていた責めの余韻がそこには残っていた。
 乳首は甘く痺れ、ペニスはますます硬くなる。硬くなったそれを女陰によって撫で擦られる。身体の自由が利かなくなるのも仕方ないような快感が込み上げてきていた。

「あうっ、うっ、ううう……」

「ふふ、気持ち良いの?」

「気持ち良いっ……!」

 搾り出したような俺の声音に、彼女はもう一度小さく笑みを漏らした。
 それから黙して腰を前後に揺らした。
 ちゅくっ、ちゅく、と湿った音が淫靡に響く。
 俺は、耳へと届くその音色に堪らなく興奮しながら、男根を激しく脈打たせた。
 次第に茜の呼吸が荒くなり始め、更には僅かな喘ぎ声が混じり出す。
 俺はいよいよ頭がどうにかなってしまいそうだった。
 一方的に責められている、と言うよりも段々とその行為は、茜の自慰的な側面が強くなりつつあった。愛しい少女に自慰の道具にされる。その事実に、俺の背筋はゾクゾクと震えていた。
 茜は快楽を得つつも、責めの手を緩めなかった。すなわち、俺の乳首は彼女の指先で執拗に撫で転がされ続けていた。
 胸と股間に響く快感が、俺を飲み込み、蕩かしていく。

「あああぁっ、茜っ、茜……!」

 ヴァギナを擦り付けられているペニスはすでに愛液でぐっしょりと濡れている。肉棒ばかりでなく、その周囲にまで発情の証は広がっていく。

「んっ……ん、ん……」

 慎ましやかながらに艶とした吐息を漏らしながら、茜は徐々に腰の動きを早めていった。それに伴い快楽も膨らんでいく。俺は今にも弾け飛んでしまいそうなほどに膨れ上がったペニスに、じわじわと熱い物が込み上げつつあるのを認めた。

「ううう、あ、茜、もう……で、出そうだっ……!」

「待って……」

 彼女はそう告げながら、熱っぽい息を吐いた。
 ああ、茜も絶頂へ至ることを求めているのか。
 それを思うと、余計に劣情が刺激され、射精の予兆が近付いてくる。加えて「待て」と指示しながらも、茜は乳首を責め続けている。俺は堪らずに身を捩りながら、何度も絶頂が近いことを告げた。
 それでも茜は責めの手を緩めようとはしてくれない。

「ん……。はあ、はあ……。ふふっ、駄目、もっと、もっと我慢して?」

「そっ、そんな……!」

 この期に及んで焦らされるとは思っていなかった。
 俺はもう無理だと首を振りつつ、必死に射精を堪える。
 そんな努力を嘲笑うかのように、茜は上体を寝かせてキスをしてきた。

「んっ、んんん……!」

 口腔を蹂躙するような荒っぽい口付けだった。
 それは愛情を示すための行為ではなく、単に俺を一層追い詰めるためだけに為されたように思えた。
 挿入へこそ至っていないものの、これではまるで犯されているようだ。
 そうした思考が過ぎった途端にペニスが暴れるように脈打った。
 茜に犯される。犯される。――自然と脳内で反芻されるその言葉に、俺は酷く興奮していた。それは雄にあるまじき悦びだ。
 遮られた視界の向こうに少女の華奢な身体を思い描く。
 その小さくほっそりとした肉体に、俺は犯されていた。
 
 荒々しいキスの激しさは、その極致へと至る。俺が伸ばした舌を茜はまるでフェラチオでもするかのように舐めしゃぶった。舌は肉棒にも負けず劣らずの性感帯と化して、快楽を湧き立たせた。
 そのあまりの気持ち良さに呆然としていると、茜は一度口を離した。
 すぐに再び唇が奪われる。今度は先と違って、彼女の舌が口腔へと潜り込んで来た。それを受け止めつつ、流し込まれる唾液を嚥下する。
 俺が喉を鳴らし終えると、計ったように乳首が強く摘み上げられた。
 電流のような快楽が胸に走り、俺はくぐもった呻き声を上げながら背を弓形に反らす。その瞬間、これまでにない勢いで男根に女陰が押し付けられる。
 ぬくちゅっ。
 火照った淫液を滴らせるその割れ目に、ペニスの半分程が飲み込まれる。飲み込まれると言っても一般的な挿入ではない。腹に向けて押し倒されたままで、男根の中腹辺りが膣の極めて浅い所に飲まれていた。
 
 茜はそのまま腰を前後に数回滑らせた。
 ぬるりとした柔らかな媚肉で男根を扱き上げられる。散々焦らされた身でその快感に耐えられるはずがなかった。
 頭か身体のどこかがいかれてしまったかの様に、俺は激しく痙攣しながら快楽の果てへと至った。
 ぶびゅくっ、びゅるるっ!
 耐えに耐えた末に精液を吐き出す。その悦びは、どこか失禁を彷彿とさせるようでありながら、排泄行為では決して味わえぬ甘いものを秘めていた。
 俺は目を白黒させながら、咆哮めいた喘ぎ声を上げていた。
 やや間を置いて、茜の荒い息遣いを耳元に認める。

「はあ……。いっぱい出たね? 私も気持ち良かったよ」



 終わったのだろうか。
 俺達は窓から空を見上げていた。
 黒い雲は消えてなくなり、青空だけがどこまでも広がっている。

「……呪いは消えたのか?」

「多分……ね」

 多分か。俺は少しばかりもやもやとしたものを感じた。
 どうせなら、綺麗さっぱり残っている可能性まで消えてくれれば良かったのだが、そうそう上手くはいかないのだろうか。

「まあ……茜の体調が戻ったのなら、それで良しとするか」

 隣に立つ彼女が小さく頷く。

「もし何かあっても、郡山くんが居てくれれば大丈夫だと思う。……それから、呪いもそんなに悪いものじゃないと思う」

「ん?」

「切っ掛けになってくれた」

 俺は少し考えて、その意味をすぐに理解した。
 確かに、彼女が呪われていなければ、俺は今頃どうなっていただろうか。
 こうして茜の傍に居る事もなく、不埒な行為を働いた変態として学園を追われていたかも知れない。
 もしもの未来を想像してゾッとするも、それを避けられたのは俺にとっての利でしかない。彼女がわざわざ「呪いも悪くない」と言ったのには別の理由がある。それはつまり――。
 濃厚な射精を経たせいか、俺はすっかり冷静になっており、それを口にするのは恥ずかしかった。そう、彼女は俺を本当に好いてくれているのだろう。
 互いにそわそわとしつつ、目を合わせることも出来ずに空を見上げる。
 俺はその真っ当な青春然とした雰囲気に耐えられずに、口を開いた。

「あ、茜、呪いってのは……その、自然現象の様なものか? それとも、ひょっとして誰かに掛けられる様なものなのか?」

 茜は短い沈黙を挟んでから言った。

「それはまた今度ね。……今日はちょっと、自分を出し過ぎたかな、って」

 波乱の半日を振り返る。
 納得だ。もはや彼女に俺を変態だと誹る権利は無いと言って良いだろう。
 俺は横目に茜を見やった。
 端整な横顔は、今まさに赤くなっている最中だった。
 照れてる茜も可愛い。可愛いのだが、その照れている理由を思い出してしまうと、可愛いと感じるだけでは済まない。エロい。エロ素晴らしい。
 俺はむくむくと股間が膨らみ出すのを認めた。
 元気過ぎるだろ、俺のおちんぽ……。
 ちょっとおかしいのではないかと自分で思いつつも、こうなっては行けるところまで行くべきだろう。本番だ!
 そこへ至るべく、俺はそっと茜の肩に手を回そうと試みるが、その手はすぐに叩かれてしまった。
 真っ赤な顔をした茜が俺を見上げて、キッと目に力を入れて凄みを利かせた。
 もちろん、凄みなんてものは彼女には無い。
 俺は好色漢めいた笑みを浮かべつつ茜へとにじり寄る。

「あれだけの事をやったんだ、今更、普通のエッチぐらい……」

 それが俺の言い分だったが、彼女には通じぬ理屈だったらしい。
 股間を思い切り蹴り上げられた。

「あふうっ!」

 妙な悲鳴を上げると同時に股を強く閉じて床にへたり込む。
 どうやらエッチはまだまだ先の事になりそうだ。
 ぷいっ、と顔を背けた茜の心情もその要因であるが、それ以上に、金的を喰らってちょっと精子を漏らしてしまった俺に問題があるだろう。
 普通のエッチじゃイケない身体になってたらどうしようか。
 ……それはまあ、それはそれで良いか。と、茜を見上げつつ思うのだった。


おわり



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15.君に捧げる


 首輪から伸びたリードが引かれ、俺は茜の股間から顔を離した。
 うっとりとした顔付きの彼女を見上げながら、俺は貞操帯の中でペニスが疼くのを感じていた。
 茜は、その勃起すら許されない哀れな肉棒をつま先で弄びながら、口を開いた。

「ねえ、郡山くん……これ、外して欲しい?」

 答えを言うまでない。俺はこくこくと頷いた。
 茜はこの『性なる力の儀式』を互いに気持ち良くなれる事だと言った。
 男女が快感を共有する――その最もたる方法は、セックスに他ならないだろう。
 男根の解放はそこへ至る一歩目に違いない。
 俺は貞操帯の鍵を手に取った茜を見上げながら、期待に胸を膨らませた。
 そんな情欲にまみれた俺の表情を見つめて、彼女は妖艶に微笑した。
 それから、木箱から瓶を取り出した。
 口の大きなそれは、無色透明の液体で満たされている。

「この鍵はね、特別な材料で出来ているの。普通の方法ではまず壊れないぐらいに頑丈なんだけどね……この薬に浸けるとあっという間に溶けるの」

 俺は脳裏に恐ろしい想像が浮かびつつあるのを認め、恐々と口を開いた。

「あ、茜……まさか……」

「もちろん、鍵の予備は無いよ。どうする?」

 そう俺に問い掛けながら、彼女は瓶の蓋を外してしまう。
 俺は呆けたような顔をしながら、首を横に振った。
 セックスへの期待を膨らませていた先の状況から一転し、雲行きが怪しくなってきた。
 茜は俺に目線を合わせるようにしゃがんで口を開く。

「鍵が壊れちゃったら、もちろんこれは二度と外せない。郡山くんはずーっとおちんちんに触ってもらえない」

 貞操帯の僅かな隙間から指を入れて、茜は男根をくすぐるように撫でている。
 俺は何も答えることが出来ず、ペニスに与えられる些細な刺激に身を震わすばかりだ。
 でも、と茜が言う。その口元に浮かぶ微笑が深くなった気がした。

「その代わり、ずーっとこうしていてあげる。おちんちんを気持ち良くして欲しいのに、してもらえない。そんなもどかしい気持ちの中で、おちんちん以外の所をいーっぱい、虐めて気持ち良くしてあげる……」

 貞操帯越しにペニスを弄んでいた手が下方へ移る。
 茜は睾丸を優しく揉みながら、俺の胸板へと顔を寄せた。
 ちゅっ、とキスをするように軽く乳首を吸われて、俺は身を大きく震わせた。
 じわりと込み上げるような快感が、俺の思考を蕩かしてしまう。
 貞操帯の鍵を壊して、二度とペニスに触ることが出来ないようにしてしまう。――何ともおぞましい行為だが、それを想像すると被虐的な興奮が湧き上がって来る。終着点の無い底なし沼のような倒錯的快感を想像する。それは酷く蠱惑的に感じられた。
 睾丸を揉まれ乳首を舐められ、俺はペニスの先から我慢汁をだらだらと滴らせていた。
 茜は乳首を甘く噛んだ後に、顔を離して俺を見上げた。

「郡山くんのその、どっちを選べば良いのか迷って困っている時の顔、好きだよ」

 それだけを告げて、彼女は再び乳首に口を付ける。
 小さく敏感な突起を柔らかな舌で刺激され、俺は情けない声を上げた。
 むにむにと揉まれる睾丸も気持ち良い。
 俺は二点から込み上げてくる快感に翻弄されながら、身悶え、喘ぎを漏らし続けた。
 頭の中では思考が堂々巡りをしている。すなわち、真っ当な官能への欲求と倒錯的な官能への欲求がせめぎあっていた。
 ややして、俺はおずおずと彼女の名を呼んだ。
 その時、二つの欲求を乗せた秤は、僅かに歪な方へと傾いていた。

「……どうしたの、郡山くん」

「あっ、茜は……どっち……が良いんだ……?」

 我ながら愚かな質問だ。
 一切それを望んでいないのなら、わざわざその為の道具を持ち出したりはしないだろう。それでも俺は茜の口から聞きたかった。

「ふふ……。それはもちろん、こっちだよ」

 そう言って、茜は貞操帯を軽く指先で弾いて音を立てた。
 続けてこう告げる。

「私のせいで郡山くんが二度とおちんちんに触れなくなっちゃう。……そう考えると凄くドキドキするの」

 茜の手が股間を離れて頬へと伸ばされる。
 彼女は俺の頬を撫でながら、うっとりとした目付きをしていた。
 その淫らで美しく、嗜虐的な瞳に俺は眩暈のするような興奮を覚えてしまう。
 それ故に、こう口走っていた。

「あっ、茜、め、命令してくれ……!」

「命令? そういうのが好き?」

 俺は生唾を飲みつつ頷いた。
 ペニスを永遠に刺激出来ない状態にしてしまう――それは去勢の代替行為と言えるだろう。
 男としての尊厳を、最も愛しく思う相手に奪われてしまう。いや、この場合は捧げるといったところか。
 俺はその行為に堪らない興奮を覚えていた。
 酷く倒錯的で被虐的な官能が、俺の心身をどこまでも熱くさせていく。
 茜は俺をじっと見つめながら口を開いた。
 その艶やかな唇から放たれる言葉を一字一句聞き逃すまいと俺は意識を集中させる。

「貞操帯の鍵を自分で壊して。二度とおちんちんに触れないようにして。……射精したくて堪らない時の、その見っとも無い顔を永遠に私に向け続けて」

 拘束具に締め付けられているペニスが、激しく脈を打っていた。
 痛みと共に湧き上がる快感が、俺を狂わせていく。
 視界が歪むような被虐感に酔い痴れながら、俺は貞操帯の鍵を摘み上げた。
 件の薬液で満たされた瓶の上に掲げる。
 しかし、そこで手を止めてしまう。
 恐怖や不安がふつふつと湧いて来ていた。

「どうしたの? やっぱり止める?」

 そう問い掛けられて、俺は反射的に首を横に振った。

「それじゃあ、もっと強く命令されたい?」

 こくっ、と頷いた後に、俺はそれを望んでいたのだと自覚した。

「……早く壊しなさい。我慢汁を垂れ流すしか能の無いマゾちんぽ何て有っても無くても変わらないでしょう? ほら、早く……。射精出来ないもどかしさに悶えながら、乳首と金玉を虐められるだけの玩具になっちゃえ」

 茜の言葉に背筋をゾクゾクと震わせながら、俺は遂に貞操帯の鍵を手放してしまう。ぽちゃん、と小さな音が鳴った。
 瓶の中へ落ちた鍵は音も無く細かな気泡を出しながら、見る間に小さくなっていった。
 俺はその様子を食い入るように見つめながら、はっ、はっ、と息を荒くしていた。
 僅かばかりの後悔が思考を過ぎるも、それはすぐに頭の隅へと追いやられた。
 目の前で、茜は身体を小刻みに震わせている。
 彼女の口から小さくもはっきりとした愉悦の滲む声音が漏れた。

「あぁ……本当に壊しちゃったんだ……」

 どこか狂気を孕んでいる様でさえある恍惚の表情に、俺はぞくりと背筋を震わせた。
 茜は俺へとにじり寄り、そのまま押し倒した。
 俺に覆い被さった彼女が耳元で声を上げる。

「私だって……本当は郡山くんとセックスしてみたい。今もお腹の下の方がジンジンして止まらないの。何もしていないのに気持ち良くなっちゃってる。ここに貴方のおちんちんが入ってきたら、私、絶対にどうにかなっちゃうって分かる。なのにね、今、私凄く興奮してる。郡山くんだけじゃなくて、自分の事まで虐めて気持ち良くなちゃってるの……」

 その告白に、俺の中で小さくなっていたはずの後悔が急激に膨らみ始めた。
 同時に暗く淀んだ快感が込み上げてくる。
 抑圧することで一層強くなる肉欲。互いに求め合っていると強く実感しながらも、それを満たすことが出来ない。
 俺達はその倒錯的な状況に酷く興奮してしまっていた。
 どちらからとも無く口付けを始める。
 舌先はどこまでも敏感で、口腔は甘く蕩けるように快感を生み出していた。
 ぴちゃぴちゃと唾液の音を立てながら、夢中でキスを交わす。
 その最中に茜は手で乳首を嬲り始めた。同時に股間には膝があてがわれる。
 睾丸をグリグリと圧迫され、乳首を摘まれ、抓られ、引っ掻かれる。
 倒錯的な興奮の中で受ける激しい責めから生まれる快感に、俺は段々と思考が消えていくのを認める。
 次第に何も考えられなくなり、ただ気持ち良さに身を委ねるばかりとなった。
 快感は蓄積されて、やがては受け止めきれない程に膨れ上がる。俺は射精のそれとは異なる絶頂へと至った。

「ああぁっ、あああああぁ……!」

 背を仰け反らせ、全身を何度も痙攣させる。
 ペニスに全ての快感が集積されるような普段の絶頂と異なり、今のこれは全身がくまなく気持ち良い状態だ。
 まるで肉体が一つの大きな性感帯と化しているようだった。
 くすっ、と茜が笑みを漏らす。

「イッちゃったんだ?」

「う、うう……あ、はあ、はあっ……! 茜……!」

 俺は息を荒げながら彼女の名を呼ぶ。
 全身は未だに震え続け、気持ちの良い痺れに苛まれている。
 そこへ新たな刺激が与えられる。
 茜が首筋に顔を寄せる。触れる吐息に背筋がゾクゾクと震える中で、柔らかな唇を押し当てられる。
 ゆっくりと首筋を舐め上げられ、俺は堪えられずに嬌声を上げてしまった。
 茜からの責めは次第に激しくなっていった。
 ぎゅっと乳首を摘み上げられ、痛みを覚える程に強く首筋を吸われる。
 そうかと思えば、今度は優しく労わるようにして快感を与えられる。
 緩急の付いた激しい責めに、俺は全身を跳ね上がらせて悶えるばかりだ。
 
 射精の伴わない絶頂が何度も続いた。その内に、その間隔は徐々に小さくなり、遂には間髪をいれずに起こるようになった。
 快楽の果てから戻って来られない。
 そう気付いた時には、もうどうすることも出来なかった。
 ものを考えることすら出来なくなるまで、そう掛からなかった。
 俺は目を白黒させながら絶え間なく続く絶頂の悦びに打ち震え続けた。


16.倒錯的恋愛


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14.狭間で揺れる肉欲


「それじゃあ、起きて」

 茜はそう言って、ちんぐり返しの格好を解いてくれた。
 むくりと身を起こして彼女と向き合って座り直す。

「目を閉じて」

 俺は言われた通りに目を瞑る。
 瞑った後に、何の意図があっての指示だったのかと気になり、薄目を開いた。
 ぼんやりとぼやけた視界の中で茜が俺の手を取るのが見えた。
 彼女は俺の指を口元へと向けて小さく咥えた。
 歯が触れたと思った次の瞬間、痛みが走った。

「いつっ……」

「ちゃんと目を閉じて」

 どうやら薄目を開いていたのがバレていたらしい。
 仕方なくぎゅっと瞼に力を込める。
 茜は再び俺の手を取った。
 何かが指先に触れる。今度は口ではないらしいが、身体の一部らしかった。
 腕の高さから考えるに胸元か。
 そう思っている内に、窮屈なところへと手が押し込まれる。
 指先に硬くも柔らかい突起が触れる。次いで茜が小さく艶っぽい声音を漏らした。

「……んっ。ふふ、ね? 興奮して起っちゃってるでしょ?」

 俺はごくり、と生唾を飲んだ。
 茜に胸に触れているのだ。それも勃起した乳首に。
 途方も無いほどの劣情が押し寄せ、理性を押し流していく。
 箍(たが)の外れた俺は、手をそこから引っこ抜き、目を見開いた。
 驚いた顔をして目をぱちくりさせている茜に襲い掛かる。
 肩を掴んで強引にキスをすると同時に、その場で押し倒す。
 茜は抵抗しなかった。
 それどころか、自らも舌を伸ばして絡めてくる。
 互いに口腔を貪ようにして、激しく求め合う。
 淫らなキスを交わしながら、俺は自然と腰を降り始めていた。
 何かの意図があって、という訳ではない。本能なのだろう。
 愛しい彼女を抱きたいと言う欲求は、ちっぽけな拘束具によって遮られている。ぼたぼたと先走り汁を滴らせる男根は、勃起することすら出来ずに苦痛のみを生じさせていた。
 俺は堪らずに、顔を上げて声を上げた。

「茜、好きだ……! 大好きだ!」

「私も、大好きだよ」

 彼女は恍惚とした眼差しで俺を見つめてそう言った。
 その表情にいよいよ我慢できずに、俺は貞操帯に覆われたままの肉棒を彼女の股間へ押し付けながら言う。

「したい……茜とセックスがしたい」

 茜のうっとりとした、恋する乙女の様でありながらも発情した淫らな雌の様でもある表情が僅かに変化する。
 口元に浮かんだ小さな笑みには嗜虐的なものが滲んでいた。

「したい?」

 そう問われて、俺はコクコク、と何度も頷いた。
 茜の笑みがますます深くなる。

「エッチしたくて堪らない?」

 俺はその衝動を身振りで伝えるかの如く、激しく首を縦に振って見せた。
 すると茜は突然、リードを強く引いた。
 不意の事で、俺は上体を倒してしまう。彼女を押し潰さぬように慌てて手を着いた。
 その耳元へ、茜が囁く。

「私のことを抱きたいの? ガチガチに硬くなったおちんちん、中に入れていっぱい気持ち良くなりたい?」

「なっ、なりたい……入れたい……!」

「……ふふっ、だーめっ」

 媚びる様な声音で性交を拒んだ後に、茜は俺の耳を甘く噛んだ。
 痛みと、お預けを喰らう焦れったさに俺は背筋をゾクゾクと震わせた。
 心の底から彼女の身を欲しているというのに、それを拒まれるのが快感などと、自分でも訳が分からないが、ともかく頭が真っ白になりそうな程に興奮してしまう。
 身体が押し上げられる。
 茜は俺の顔をじっと見上げていたかと思うと、満面の笑みを浮かべて胸に抱いた。

「エッチお預けされて情けない顔してる郡山くん、とっても可愛いよ」

 彼女の小さな手でわしゃわしゃと撫で回される俺の頭の中では、真っ当な性衝動と歪な被虐願望が交互に浮き沈みを繰り返していた。
 本来あるべき男女の姿をもってして、彼女と愛し合いたい。そう願った直後に、彼女にされるがまま、生殺しの状態で淫らに嬲られ続けることを望んでしまう。
 そんな状態で、俺はどうして良いのか分からずに、ただ腰をへこへこと上下させながら、茜に頭を撫でられ続けた。
 ややして、茜は俺の身体を押し退けて立ち上がった。
 彼女は自身の下腹部を指して言う。

「郡山くんのせいで、ここ汚れちゃった。綺麗にしてくれる?」

 見れば確かに、濡れ光るものがある。
 それはボンテージの内から溢れて来たものではなく、押し付けていた俺の股間から滲み出した我慢汁だ。
 自身の体液を舐め取るなど、平時ならば、想像するだけでも不快極まりない。
 しかし、茜に命じられ、尚且つ、そこが彼女の秘部であるならば話は別だ。
 俺は火照った息を吐きながら彼女の足元へと擦り寄った。
 脚に手を掛け、顔を上げる。見上げた先では、茜が美しい顔に妖しげな微笑を浮かべていた。
 俺は上目遣いに彼女の顔を見やったまま、その股座へと顔を寄せた。
 無駄な突起の存在しない、つるりとした股間へ舌を這わせる。

「ん……ふふふ……んんっ……」

 ボンテージの生地越しにとは言え、そこは敏感な部位だ。
 僅かにでも感じるところがあったのか、茜は小さくも色っぽい声を上げた。
 それに興奮を煽られ、俺は股間へと這わせた舌の動きを一層激しくさせた。
 俺は足元から彼女を見上げ、彼女は立ったまま俺を見下ろす。
 視線を絡ませる様に見つめ合っていながらも、そこにあるのは恋人同士の機微というよりも、下男と主が持つ主従関係のそれに近い。
 背筋がゾクゾクとするよう被虐感の中で、己の体液で汚してしまった彼女の股間を舐めまわすのは、無性に興奮する行為だった。
 そうして俺はしばらくの間、夢中になって茜の股に舌を這わせていた。
 彼女は時折、小さく身を震わせて官能めいた吐息を漏らしていた。
 


15.君に捧げる

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13.舌で舐められ


 射精を経て小さく萎んだペニスが、シリコン製の貞操帯に収められた。
 やや窮屈に感じるが、それが余計に被虐感を煽る。
 茜は、貞操帯にしっかりと錠を掛けた後、それ越しにペニスを愛しげな手付きで撫でて言う。

「ふふ、これでもう自分の意思じゃおちんちんに触れなくなっちゃったね」

 拘束の定番、四肢の緊縛ではなく、ペニスの自由が奪われている。そのことに俺はドキドキと胸を鳴らすばかりだ。

「……今、どんな気分?」

「こ、興奮する」

「私も」

 そう告げて俺を見下ろして、茜は目を細めた。
 その艶っぽい目付きを受けて、男根は貞操帯の中で膨らもうとしている。
 もちろん、それは叶わぬことだ。
 痛みがじわりと下腹部から込み上げてくる。俺は小さく呻き声を上げた。

「勃起も出来ないなんて可哀想……」

「あう、うう……茜……」

「でも、外して上げない。可哀想な郡山くんを見ていると、とっても興奮するの」

 言うなり、茜は俺を押し倒した。
 カーペットの上で仰向けになった俺に、彼女が覆い被さってきた。
 頭を胸板に寄せて、ぴったりと身体を密着させる。
 胸の突起に吐息が触れるのを感じたかと思うと、すぐに湿ったものがそこに触れた。
 顎を引いてそこへと目を向ける。
 茜は、乳首に向けて舌を小さく伸ばしていた。
 舌先がチロチロとくすぐるようにそれを舐める。

「うっ……くうう……」

 切ないような疼きがそこから込み上げ、俺は情けなく呻き声を漏らした。
 そんな反応に興奮しているかのように、茜はより扇情的に舌を使って見せる。
 大きく口を開き、舌を目一杯伸ばして乳首を舐める。
 舌の表面の細かな凹凸が、敏感な部位を通り抜けていくのは、堪らなく気持ち良かった。
 何度かそうして大振りに乳首を舐められた。
 すっかり勃起してしまった俺のそこは、ジンジンと甘く痺れて止まない。
 それを今度はぱくっ、と咥えられてしまう。
 茜の柔らかな唇で胸を吸われると、俺は全身を大きく震わせて嬌声を上げた。
 貞操帯の中では、ペニスが内から拘束を破らんとしているかの如く、膨張を試みているが、それはやはり上手くいかず、痛みだけが俺を襲っている。
 それにも関わらず、我慢汁はしとどに溢れ続けていた。

「はあっ、あああぁっ……!」

 茜は口で片一方を責めながら、もう片方を指先で責めている。
 ぷっくりと膨らんだ乳首を指で摘まれ、潰すようにコリコリと転がされる。
 そこから込み上げる快感が、身体へ染み広がっていく。
 気付けば俺は腰を上下させながら喘ぎ、悶えていた。

「乳首だけでもこんなに感じちゃうんだね」

 茜は顔を上げてそう言った。
 先程まで口で愛でられていた乳首には手が添えられている。
 左右の乳首を両手で弄繰り回しながら、茜は言葉を続けた。

「そんなに乳首が良いなら、もうおちんちんいらない?」

 俺は腰をガクガクと震わせながら、何とか首を横に振った。
 そんな俺の反応に対して、茜は小さく笑みを漏らした。

「ふふっ……」

 笑みに込められた淫靡な嗜虐性を感じて、俺は頭がぼんやりとするような興奮を覚えた。

「もっと気持ち良くしてあげる」

 そう告げた後に、茜が身体を起こす。
 足元に回った彼女は俺の脚を持ち上げた。
 無論、女の子の腕力で強引に動かせる訳はないので、俺も彼女の意に沿って身体を動かす。
 持ち上げられた脚は、そのまま俺の頭へ向かった倒された。
 俺の身体は『くの字』を書くように、ちんぐり返しの格好にされていた。
 逆さになった俺の半身を、茜は自らの身体を密着させて支えながら、天を向く股間へ顔を寄せる。
 蟻の門渡りに吐息が当てられる。
 そのくすぐったさに、俺は身を震わせ、情けない声を上げた。
 茜はくすくすと笑みを零してから首を傾げた。

「お尻の穴まで丸見えだけど、恥ずかしくないの?」

「はっ、恥ずかしい……」

 俺がそう答えると、彼女は貞操帯に覆われたペニスの先へと手を伸ばした。

「恥ずかしいのに濡れちゃうの?」

 掬い取った我慢汁が、指の間で糸を引く様を俺に見せ付ける。
 
「あ、茜に恥ずかしいことをさせられると……興奮する……」

「そうなんだ。どうしようもないマゾの変態だね」

 茜は俺をそう罵り、片脚を器用に伸ばした。
 身体を回り込んで俺の顔に足を押し付ける。

「うっ、うう……茜……茜……!」

 羞恥を煽り立てるような格好をさせられ、顔を足で踏まれている。
 そのことにたまらなく興奮して、俺は彼女の名を呼んでいた。
 顔を踏んでいる足に舌を伸ばす。
 僅かに汗ばむそれを夢中で舐めていると、茜が動いたらしい。
 蟻の門渡りに何か柔らかく湿ったものが触れるのを、俺は認めた。
 すぐに舐められているのだと分かった。
 舌先でチロチロとくすぐるように、舐められている。
 こそばゆい。こそばゆいが、そこには快感を見出すことが出来る。
 俺は堪らず喘ぎ声を上げてしまう。
 大きく開かれた口に、茜はつま先を向けた。
 舌に触れた彼女の足指に、しゃぶり付く。
 ちゅぱちゅぱと音を立てながら、ペニスを咥える女の様に、足の指を丹念に舐める。
 茜は時折、くすぐったげな声を上げながらしばし蟻の門渡りを舌で責めていた。
 その内に、舌の矛先は睾丸へと変わっていった。
 貞操帯は肉の幹を覆うのみで、陰のうはさらけ出されている。
 茜は、そこへ舌を這わせたのだ。
 新たな刺激に俺は身悶える。
 縫い目のようになっている陰のうの中心に舌を這わされる。
 そうかと思えば、睾丸をちゅっ、ちゅ、と音を立てて吸われてしまう。
 俺は股間が彼女の唾液でぐっしょりと濡れていくのを感じながら、込み上げる快感に身を震わせるばかりだ。
 顔面に押し付けられた足裏へと奉仕する余裕はもはや残っていない。
 俺はただ、股間を茜にべろべろと舐められて悶えるばかりだ。
 たっぷりとそこを湿らす唾液が、逆さになっている身体へと流れてくる。

「ふうっ、う、ああぁぁ……」

 快感に目を白黒とさせる。
 貞操帯の中でペニスは激しく脈を打ち、甘く痺れている。
 そこへは刺激を与えて貰えない。自身で弄ることでも出来ない。
 なのに性感は絶え間なく次々と注がれている。
 官能的な拷問と言っても良い状況だ。
 俺はその事に堪らない興奮を覚えてしまっていた。被虐的な興奮だ。
 それに酔い痴れる俺へと、茜は一際強い刺激を与える。
 口に含んだ睾丸を激しくしゃぶられる。
 彼女の艶やかな唇に、睾丸が勢い良く出入りする。
 ちゅくっ、ちゅぱっ、ちゅうう。
 俺は甲高い声を上げて、身を激しく震わせた。
 背筋をゾクゾクとしたものが走り、頭の中は真っ白に染まっていく。
 ちゅぽんっ、と音を立てて茜が睾丸を解放した。

「はあっ、はああぁ……ああ、茜……」

 俺は酷く見っとも無い、蕩けた顔をしていることだろう。
 股間越しにそれを見下ろす茜が、扇情的かつ嗜虐的な笑みを浮かべていたのだから、きっとそうに違いない。

「ふふっ……気持ち良かった?」

 薄く笑みを描いた唇から放たれた、淫らな声音の問いに、俺は惚けたようになりながら、こくこくと頷いた。

「そう。……私も郡山くんのいやらしい声を聞いてたら、興奮しちゃった」

 彼女の言葉に、俺は胸をドキッと鳴らした。

「どれぐらい興奮しちゃったのか、知りたい?」

 そう問われて俺は、激しく首を振ると同時に声を上げた。

「し、知りたい」


14.狭間で揺れる肉欲


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12.ぺちぺち


「そこに座って」

 そう命じる静かな声音はどこか冷たげで、俺は被虐感にゾクゾクとしながら腰を下ろした。
 床に座した俺を見下ろす茜の瞳はどこか恍惚とした色に染まっているように思えた。
 脚を開くように指示され、俺は黙ってそれに従った。
 M字に開いた股へと、茜の細い脚が伸ばされる。
 ペニスに触れた彼女の素足は、ほんの少しひんやりとしていた。
 その冷たさが、男根に触れているのは足なのだと実感させる。

 茜はゆっくりと押し潰すように右足に体重を掛けていった。
 彼女の足の下で、ペニスがビクビクと大げさな程に脈を打つ。

「どう?」

「ど、どうって……うう……おちんぽがムズムズしてくる」

「ムズムズしちゃうんだ。変態だね」

 茜の足がペニスから離れた。
 足を用いた責めはこれで終わりなのだろうか、と思っているところに、軽い蹴りが飛んできた。
 いきり立った男根が大きく揺れる。

「あううっ……」

 俺は情けない声を上げながら、茜の顔を見上げる。
 平気な顔をして男の生殖器を足蹴にする彼女に、俺は興奮してしまった。
 そんな状態の中、男根をもう一度蹴られる。
 痛みと呼べる程の刺激ではない。精々乱暴に弄ばれていると言ったところか。
 ペニスはその被虐的な悦びに打ち震えて、鈴口に我慢汁を滲ませる。
 茜はつま先をそこへやって、親指で亀頭の先端を撫で付けた。
 こそばゆい感覚に、俺は腰をガクガク言わせながら、喘ぎ混じりの吐息を漏らした。

「ふふふっ。足で虐められるだけでこんなに濡らしちゃうなんて、悪い子」

 咎めるような言葉を放ちながらも、その顔色は嬉々としている。
 それ見上げて、俺は思わず口走っていた。

「良かった……」

 俺の腕の中で死ねるのなら、そう言った時の暗い影はもう見当たらなかった。
 そんな心情が顔に出ていたのだろうか。
 茜はペニスから足を離して言う。

「いま優しい顔をするなんて、ずるい」

「……すまん」

 膝を着いた彼女は、四つん這いの格好で俺に近付いた。
 頬を小さく膨らませた可愛らしい顔が、間近に迫り、俺は胸を高鳴らせた。

「仕切り直し……」

 彼女の唇が俺のそれに触れる。
 何度か軽いキスを交わした後、どちらからともなく舌を伸ばす。
 舌を絡ませ合い、湿った音を響かせる。
 触れ合う舌先が甘く痺れていく。
 
 キスは次第に激しくなっていった。
 互いに貪り合うようにして、口付けを交わし続ける。
 その心地良さに思考は蕩けていった。
 ゆっくりと唇を離してから、茜は小さく火照った息を漏らした。
 彼女の顔には官能的な色が滲んでいた。
 
 じっと俺を見つめたまま、茜が木箱を手繰り寄せる。
 そこから取り出した首輪を俺に掛けた。
 首輪から伸びるリードを引いて、茜は笑みを浮かべた。
 全裸の男に首輪を着けて愉しげな顔をする美少女。興奮するなと言う方が無理だ。
 俺はガチガチに勃起したペニスを脈打たせながら、茜へにじり寄る。
 それをさらりといなして、彼女は立ち上がった。
 俺を見下ろして、一言。

「そうしていると、犬みたいだね」

 俺は背筋がゾクゾクと震えるのを認めた。
 振るべき尻尾が無い俺は、替わりに我慢汁を滴らせた。
 その反応に何か感じるところがあったのか、茜は俺の眼前に手の平を差し出しながら言った。

「ペロペロしてみる?」

 言葉で答えず、俺は彼女の手に口を付けた。
 汗だろう。少し塩っぽい味がした。
 俺に手の平を舐めさせながら、茜はくすっ、と笑い声を漏らした。

「くすぐったい」

 そう言いながら、リードを強く引く。
 俺は徐々に腰を浮かせながら、舌を這わせ続けた。
 手首、肘、二の腕。
 俺の舌がそこまで至ると、彼女は腕を上げた。
 透き通るように白い腋が露になった。
 薄っすらと滲んだ汗が輝く様に、俺は劣情を禁じえなかった。
 ちゅっ、とキスをしてから舌を這わせる。

「んっ……ふふ……」

 こそばゆさから発せられているであろう笑い声が、どこか淫靡に聞こえてならない。俺は夢中になって彼女の腋を舐めしゃぶった。
 その興奮は、先走り汁が床に水溜りを作り出す程だった。
 
 不意に首輪が強く引かれる。
 これを「口を離せ」の意だと受け取り、俺は顔を上げた。
 火照った顔を朱に染めている茜と目が合う。

「エッチなワンちゃんには……躾が必要だね。おすわり」

 ワンッ、とは鳴かなかったものの、俺は素直に従った。
 茜は、その姿を見下ろして満足げな笑みを浮かべた後、箱から新たな道具を取り出した。今度は一体なんだろうか。
 格子状の拘束具に見えるそれは、ちょうど非勃起時のペニスが収まるであろう大きさだった。

「足、開いて」

 促されるままに股間をさらけ出して、ペニスを差し出すように腰を浮かせる。
 ひんやりとした拘束具があてがわれる。
 男根はこれ以上なく勃起している。もちろん入るはずがない。

「小さくしないと駄目みたい。どうしようか、郡山くん」

「どうしようかって……どう小さくするのかってことか?」

 茜は黙って頷いた。

「そりゃあもちろん、射精させてもらえるのが俺としては一番良いのだが」

「分かった」

「え?」

 SMプレイだというからには、射精は散々焦らされて然るものだと思っていた。
 普通のエッチなことはそっちのけで、鞭でビシビシやられたり、豚だのゴミだの罵られたりするのでは、と。
 ぽかん、としている俺に対して、茜は小さくウインクをして見せた。可愛い。
 彼女の細い腕が、股間へ伸びる。
 手コキが行われるであろうことを予期して、俺は快楽を期待するが、与えられた刺激は違っていた。
 乾いた音が部屋に響く。

「あうっ……!」

 俺はペニスにビンタを喰らっていた。
 平手は、左右から交互に男根を打つ。
 ぺちっ、ぱちっ。
 揺れる肉棒は、痛みと快楽を同時に味わわされ、見っとも無く先走り汁を撒き散らす。

「うっ、あうう、あっ、茜……」

「なあに」

「くふっ、うう……きっ、気持ち良い……」

「ふふ、知ってるよ」

 そうか。以前にもこうしてペニスにビンタを受けたことがあった。
 あの時は結局、フェラチオで果てさせてもらったが、今度はどうなることやら――などと考えていると茜が言った。彼女も同じことを思い出していたのだろうか。

「ねえ? また口でしてあげようか?」

 自然と目線はその可憐な口元へと向いていた。
 小ぶりながら艶々として鮮やかな唇が、小さく歪む。淫らに誘うような笑みに、俺は呆けたような顔をしながら、こくこくと頷く。

「分かった」

 言うなり、彼女は身を屈めた。
 かき上げた髪を耳の近くで押さえながら、ペニスへ顔を寄せる。
 ふ、と吐息が亀頭に触れた。

「やっぱり、やーめた。叩かれて気持ち良くなっちゃう変態おちんちんには、これで充分だよね?」

 一瞬俺を見上げた後に、彼女は唾液を滴らせた。

「あふっ……」

 生温かな体液を敏感な亀頭に垂らされ、俺は堪らずに呻き声を上げていた。
 たっぷりと唾液を落してから茜は顔を上げた。

「郡山くんのおちんちん、私の涎でびちゃびちゃになっちゃったね」

 男根は、妖しく濡れ光りながら律動している。
 俺は荒々しい呼吸をしながら、己のペニスと彼女の顔を交互に見やった。
 少女の美しい顔と唾液まみれの男根。二者の対比に興奮する俺の様子に、茜は笑みを零した。

「ふふ、舐めてもらえて残念? それとも興奮しちゃった?」

「こ、興奮する」

 俺が答えると、彼女は笑みを深めて男根に手を伸ばした。
 しなやかな指が肉の幹にあてがわれる。
 指先で裏筋を撫でられ、俺は身を震わせた。

「指一本で触られても感じちゃうの?」

「感じちゃうぅ……」

 俺は自分でも驚くほどに間抜けな台詞を口走った。
 くすくす。
 どこか小ばかにしたような笑い声に、倒錯的な興奮を覚えてしまう。
 茜はしばしの間、笑いながら指先一つで肉棒を弄んでいた。
 不意に手が止まり、彼女が俺を見つめて言った。

「可愛い」

 胸が一つ大きく高鳴った。

「もっと意地悪なことをしたくなっちゃう」

 茜のそんな言葉に、俺は背筋をゾクゾクと震わせて、頭の中が真っ白になっていくような感覚に襲われていた。
 そこへ刺すような痛みが与えられる。
 見ると、茜が指先でペニスを弾いていた。

「あううっ、う、ああぁ……」

 容赦なく連続して与えられる痛みに、俺は腰を引いてしまう。

「逃げないで」

 甘えるようでありながら、高圧的な声音だった。
 俺は一瞬、どうして良いのか分からないような心地に陥るも、結局は自ら生殖器を差し出していた。

「良い子」

 言いながらも、茜は男根を指で虐げ続ける。
 痛みは徐々に快感へと変じていった。
 パンパンに張った亀頭の先から、我慢汁が滲み出す。
 腰は自然と小刻みに揺れ、その最奥から熱い物がこみ上げてくる。

「あっ、茜っ、はあっ、ああ……もう……」

「こんなのでもイッちゃうんだ? ……郡山くんのおちんちん、馬鹿になっちゃったのかな」

 茜はそう俺を罵りながら、一際力強くペニスを弾いた。
 亀頭の裏に伸びる筋――陰茎小帯が指先によって打たれる。
 快感は、肉棒から全身へと弾けるように広がり、俺は果てた。
 ぶびゅっ! びゅるっ!
 大きく脈打つ男根から、精液が迸り、俺はその悦びに蕩けた表情を浮かべた。
 
 肩で息をしながら茜へと視線を向ける。
 ボンテージ姿の彼女は、官能めいた顔付きで、俺を見つめていた。
 突然、リードが強く引かれる。
 そうして手繰り寄せた俺の身体を彼女はぎゅっと抱き締めた。
 露出した肌は幾ばくか冷たくなっていた。

「大丈夫、痛くなかった?」

 優しい声音。艶やかな髪から漂う女の子らしい香り。
 俺は切なさに似たときめきを覚えつつ、口を開いた。

「痛かったけど、気持ち良かった……」

 何とも間抜けな返しだ。
 今の彼女には、男を間抜けに、骨抜きにしてしまうような母性的な魅力があると俺は感じていた。
 先に散々虐げられたせいだろう。
 粗暴な振舞いの者が誠実な行いを見せた時、その意外性ゆえに強い印象を与えるのに似ている。
 射精を経て落ち着きを取り戻した思考はそんな分析を勝手に始めていたが、頭をゆっくり撫でられるとどうでも良くなってしまう。
 俺は彼女の名を口にしながら、その身に強く抱き付いた。
 
 しばしそうして、抱き合った後、茜は言った。

「また勃起しちゃう前に、これ着けちゃおうか」


13.舌で舐められ

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