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ぷるんぷるるん

女の子に気持ち良くいじめられるM男向け官能小説公開中。

12.ぺちぺち


「そこに座って」

 そう命じる静かな声音はどこか冷たげで、俺は被虐感にゾクゾクとしながら腰を下ろした。
 床に座した俺を見下ろす茜の瞳はどこか恍惚とした色に染まっているように思えた。
 脚を開くように指示され、俺は黙ってそれに従った。
 M字に開いた股へと、茜の細い脚が伸ばされる。
 ペニスに触れた彼女の素足は、ほんの少しひんやりとしていた。
 その冷たさが、男根に触れているのは足なのだと実感させる。

 茜はゆっくりと押し潰すように右足に体重を掛けていった。
 彼女の足の下で、ペニスがビクビクと大げさな程に脈を打つ。

「どう?」

「ど、どうって……うう……おちんぽがムズムズしてくる」

「ムズムズしちゃうんだ。変態だね」

 茜の足がペニスから離れた。
 足を用いた責めはこれで終わりなのだろうか、と思っているところに、軽い蹴りが飛んできた。
 いきり立った男根が大きく揺れる。

「あううっ……」

 俺は情けない声を上げながら、茜の顔を見上げる。
 平気な顔をして男の生殖器を足蹴にする彼女に、俺は興奮してしまった。
 そんな状態の中、男根をもう一度蹴られる。
 痛みと呼べる程の刺激ではない。精々乱暴に弄ばれていると言ったところか。
 ペニスはその被虐的な悦びに打ち震えて、鈴口に我慢汁を滲ませる。
 茜はつま先をそこへやって、親指で亀頭の先端を撫で付けた。
 こそばゆい感覚に、俺は腰をガクガク言わせながら、喘ぎ混じりの吐息を漏らした。

「ふふふっ。足で虐められるだけでこんなに濡らしちゃうなんて、悪い子」

 咎めるような言葉を放ちながらも、その顔色は嬉々としている。
 それ見上げて、俺は思わず口走っていた。

「良かった……」

 俺の腕の中で死ねるのなら、そう言った時の暗い影はもう見当たらなかった。
 そんな心情が顔に出ていたのだろうか。
 茜はペニスから足を離して言う。

「いま優しい顔をするなんて、ずるい」

「……すまん」

 膝を着いた彼女は、四つん這いの格好で俺に近付いた。
 頬を小さく膨らませた可愛らしい顔が、間近に迫り、俺は胸を高鳴らせた。

「仕切り直し……」

 彼女の唇が俺のそれに触れる。
 何度か軽いキスを交わした後、どちらからともなく舌を伸ばす。
 舌を絡ませ合い、湿った音を響かせる。
 触れ合う舌先が甘く痺れていく。
 
 キスは次第に激しくなっていった。
 互いに貪り合うようにして、口付けを交わし続ける。
 その心地良さに思考は蕩けていった。
 ゆっくりと唇を離してから、茜は小さく火照った息を漏らした。
 彼女の顔には官能的な色が滲んでいた。
 
 じっと俺を見つめたまま、茜が木箱を手繰り寄せる。
 そこから取り出した首輪を俺に掛けた。
 首輪から伸びるリードを引いて、茜は笑みを浮かべた。
 全裸の男に首輪を着けて愉しげな顔をする美少女。興奮するなと言う方が無理だ。
 俺はガチガチに勃起したペニスを脈打たせながら、茜へにじり寄る。
 それをさらりといなして、彼女は立ち上がった。
 俺を見下ろして、一言。

「そうしていると、犬みたいだね」

 俺は背筋がゾクゾクと震えるのを認めた。
 振るべき尻尾が無い俺は、替わりに我慢汁を滴らせた。
 その反応に何か感じるところがあったのか、茜は俺の眼前に手の平を差し出しながら言った。

「ペロペロしてみる?」

 言葉で答えず、俺は彼女の手に口を付けた。
 汗だろう。少し塩っぽい味がした。
 俺に手の平を舐めさせながら、茜はくすっ、と笑い声を漏らした。

「くすぐったい」

 そう言いながら、リードを強く引く。
 俺は徐々に腰を浮かせながら、舌を這わせ続けた。
 手首、肘、二の腕。
 俺の舌がそこまで至ると、彼女は腕を上げた。
 透き通るように白い腋が露になった。
 薄っすらと滲んだ汗が輝く様に、俺は劣情を禁じえなかった。
 ちゅっ、とキスをしてから舌を這わせる。

「んっ……ふふ……」

 こそばゆさから発せられているであろう笑い声が、どこか淫靡に聞こえてならない。俺は夢中になって彼女の腋を舐めしゃぶった。
 その興奮は、先走り汁が床に水溜りを作り出す程だった。
 
 不意に首輪が強く引かれる。
 これを「口を離せ」の意だと受け取り、俺は顔を上げた。
 火照った顔を朱に染めている茜と目が合う。

「エッチなワンちゃんには……躾が必要だね。おすわり」

 ワンッ、とは鳴かなかったものの、俺は素直に従った。
 茜は、その姿を見下ろして満足げな笑みを浮かべた後、箱から新たな道具を取り出した。今度は一体なんだろうか。
 格子状の拘束具に見えるそれは、ちょうど非勃起時のペニスが収まるであろう大きさだった。

「足、開いて」

 促されるままに股間をさらけ出して、ペニスを差し出すように腰を浮かせる。
 ひんやりとした拘束具があてがわれる。
 男根はこれ以上なく勃起している。もちろん入るはずがない。

「小さくしないと駄目みたい。どうしようか、郡山くん」

「どうしようかって……どう小さくするのかってことか?」

 茜は黙って頷いた。

「そりゃあもちろん、射精させてもらえるのが俺としては一番良いのだが」

「分かった」

「え?」

 SMプレイだというからには、射精は散々焦らされて然るものだと思っていた。
 普通のエッチなことはそっちのけで、鞭でビシビシやられたり、豚だのゴミだの罵られたりするのでは、と。
 ぽかん、としている俺に対して、茜は小さくウインクをして見せた。可愛い。
 彼女の細い腕が、股間へ伸びる。
 手コキが行われるであろうことを予期して、俺は快楽を期待するが、与えられた刺激は違っていた。
 乾いた音が部屋に響く。

「あうっ……!」

 俺はペニスにビンタを喰らっていた。
 平手は、左右から交互に男根を打つ。
 ぺちっ、ぱちっ。
 揺れる肉棒は、痛みと快楽を同時に味わわされ、見っとも無く先走り汁を撒き散らす。

「うっ、あうう、あっ、茜……」

「なあに」

「くふっ、うう……きっ、気持ち良い……」

「ふふ、知ってるよ」

 そうか。以前にもこうしてペニスにビンタを受けたことがあった。
 あの時は結局、フェラチオで果てさせてもらったが、今度はどうなることやら――などと考えていると茜が言った。彼女も同じことを思い出していたのだろうか。

「ねえ? また口でしてあげようか?」

 自然と目線はその可憐な口元へと向いていた。
 小ぶりながら艶々として鮮やかな唇が、小さく歪む。淫らに誘うような笑みに、俺は呆けたような顔をしながら、こくこくと頷く。

「分かった」

 言うなり、彼女は身を屈めた。
 かき上げた髪を耳の近くで押さえながら、ペニスへ顔を寄せる。
 ふ、と吐息が亀頭に触れた。

「やっぱり、やーめた。叩かれて気持ち良くなっちゃう変態おちんちんには、これで充分だよね?」

 一瞬俺を見上げた後に、彼女は唾液を滴らせた。

「あふっ……」

 生温かな体液を敏感な亀頭に垂らされ、俺は堪らずに呻き声を上げていた。
 たっぷりと唾液を落してから茜は顔を上げた。

「郡山くんのおちんちん、私の涎でびちゃびちゃになっちゃったね」

 男根は、妖しく濡れ光りながら律動している。
 俺は荒々しい呼吸をしながら、己のペニスと彼女の顔を交互に見やった。
 少女の美しい顔と唾液まみれの男根。二者の対比に興奮する俺の様子に、茜は笑みを零した。

「ふふ、舐めてもらえて残念? それとも興奮しちゃった?」

「こ、興奮する」

 俺が答えると、彼女は笑みを深めて男根に手を伸ばした。
 しなやかな指が肉の幹にあてがわれる。
 指先で裏筋を撫でられ、俺は身を震わせた。

「指一本で触られても感じちゃうの?」

「感じちゃうぅ……」

 俺は自分でも驚くほどに間抜けな台詞を口走った。
 くすくす。
 どこか小ばかにしたような笑い声に、倒錯的な興奮を覚えてしまう。
 茜はしばしの間、笑いながら指先一つで肉棒を弄んでいた。
 不意に手が止まり、彼女が俺を見つめて言った。

「可愛い」

 胸が一つ大きく高鳴った。

「もっと意地悪なことをしたくなっちゃう」

 茜のそんな言葉に、俺は背筋をゾクゾクと震わせて、頭の中が真っ白になっていくような感覚に襲われていた。
 そこへ刺すような痛みが与えられる。
 見ると、茜が指先でペニスを弾いていた。

「あううっ、う、ああぁ……」

 容赦なく連続して与えられる痛みに、俺は腰を引いてしまう。

「逃げないで」

 甘えるようでありながら、高圧的な声音だった。
 俺は一瞬、どうして良いのか分からないような心地に陥るも、結局は自ら生殖器を差し出していた。

「良い子」

 言いながらも、茜は男根を指で虐げ続ける。
 痛みは徐々に快感へと変じていった。
 パンパンに張った亀頭の先から、我慢汁が滲み出す。
 腰は自然と小刻みに揺れ、その最奥から熱い物がこみ上げてくる。

「あっ、茜っ、はあっ、ああ……もう……」

「こんなのでもイッちゃうんだ? ……郡山くんのおちんちん、馬鹿になっちゃったのかな」

 茜はそう俺を罵りながら、一際力強くペニスを弾いた。
 亀頭の裏に伸びる筋――陰茎小帯が指先によって打たれる。
 快感は、肉棒から全身へと弾けるように広がり、俺は果てた。
 ぶびゅっ! びゅるっ!
 大きく脈打つ男根から、精液が迸り、俺はその悦びに蕩けた表情を浮かべた。
 
 肩で息をしながら茜へと視線を向ける。
 ボンテージ姿の彼女は、官能めいた顔付きで、俺を見つめていた。
 突然、リードが強く引かれる。
 そうして手繰り寄せた俺の身体を彼女はぎゅっと抱き締めた。
 露出した肌は幾ばくか冷たくなっていた。

「大丈夫、痛くなかった?」

 優しい声音。艶やかな髪から漂う女の子らしい香り。
 俺は切なさに似たときめきを覚えつつ、口を開いた。

「痛かったけど、気持ち良かった……」

 何とも間抜けな返しだ。
 今の彼女には、男を間抜けに、骨抜きにしてしまうような母性的な魅力があると俺は感じていた。
 先に散々虐げられたせいだろう。
 粗暴な振舞いの者が誠実な行いを見せた時、その意外性ゆえに強い印象を与えるのに似ている。
 射精を経て落ち着きを取り戻した思考はそんな分析を勝手に始めていたが、頭をゆっくり撫でられるとどうでも良くなってしまう。
 俺は彼女の名を口にしながら、その身に強く抱き付いた。
 
 しばしそうして、抱き合った後、茜は言った。

「また勃起しちゃう前に、これ着けちゃおうか」


13.舌で舐められ

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11.暗転

 仰向けに倒れて、全身で息をする樫田の傍らで、弥生は立ち尽くしていた。
 その顔色は、決して良い物ではない。
 ペニスを咥えて必死に舐めしゃぶっても果てることの無かった想い人は、仇敵とも言うべき女に顔を踏まれるだけで精を吐き出した。
 それを間近で見ていたのだから、当然だった。

 ゆるりとした動きで弥生へ向き直った貝塚は、その端整な顔立ちに意地悪な笑みを湛えて、口を開いた。

「これで分かったでしょう?」

「な……なにが……」

 搾り出したように掠れた声音だった。
 後ずさる弥生を見つめて、貝塚は目を細めて言う。

「彼の本性よ」

「本性……。違う、わ、渉はそんなじゃ……」

 ない、ときっぱり否定することは出来なかった。
 自身の吐き出した欲望の証にまみれている樫田の姿を前にしては、どんな弁解も無意味に思えた。
 貝塚は上着を脱ぎながら言う。

「ふふ、彼にとって貴女への愛情は……もはや快楽を増幅させる為の材料でしかないのよ」

 弥生は小さく、ゆっくりと首を横に振る。

「裏切りへの背徳感と興奮、純情を踏み躙られる被虐的な快感。それらを感じるためだけの、お為ごかしの愛情。一般的に使われる意味とはかけ離れているけど、要は遊ばれていただけのようなものね」

 スカートを脱ぎながら貝塚がそう告げた。
 
 弥生はビクッ、と身体を震わせた後、黙り込んだ。
 貝塚に対して尋常ならざる魔性を感じているものの、それが全てを狂わせているとは考えられなかった。つまり、樫田は少なからず己の意志によって彼女に身を捧げていたのだと、考えるしかなかった。
 何より今も、下着姿になった貝塚へと、彼の視線は釘付けになっている。
 この状況で、樫田を信じ続けるなど出来るはずもなかった。
 それはつまり、貝塚の口から放たれた先の言葉を事実として認めざるを得ないと言うことだった。

 貝塚が弥生の頬をそっと撫でて言う。

「菅野さん? 大丈夫? 顔が死んでるわよ」

 弥生の瞳に映る淫蕩の体現者は、ちっとも身を案じているような感じられない軽薄な笑みを浮かべていた。
 空気が抜けるように、弥生はその場でへたり込んだ。
 貝塚は寸時の間、彼女をじっと見下ろしていた。
 先の言葉通り、もぬけの殻と化したような表情を浮かべたまま、弥生は動かない。
 貝塚は、眼前で手を振った後、額を指先で弾いた。
 それでも弥生はぼんやりと虚空を見上げているのみだ。
 ここに関しては、貝塚の手による干渉はなかった。単に弥生の心はすっかり折れてしまっていた。

「彼女、壊れちゃったかしら?」

 貝塚は振り返った先に、立ち上がる樫田の姿を認めた。
 全身に大量の汗を掻き、ぜえぜえと息をしている。

「よく立ち上がれたわね。……でも残念。貴方の大好きな菅野さんはこの通りだし、その抵抗だって無駄に終わるのよ?」

 そう嘲笑う貝塚を樫田は睨み付ける。

「ふふ、憎くて仕方ないって顔ね。良いわよ、その感情すら倒錯的な快楽の踏み台でしかないってことを教えてあげるわ」

 言うなり、貝塚は彼の身を抱き締めた。
 豊満な女体は柔らかく温かだった。
 吸い付くような瑞々しい肌の触感は、頭がくらくらするような興奮をもたらした。それでも、身を焼くような怒りの炎は消えなかった。
 喉まで出掛かっていたあられもない声音を押し殺し、歯を食い縛る。
 そんな彼の様子に、貝塚は瞳を愉しげに輝かせた。

「良いわね、その反応……」

 うっとりとした声音で言った後、口付けを迫る。
 柔らかな唇と舌先は、官能的に蠢き、樫田を快楽へと誘う。
 彼は変わらず歯を食い縛ったまま、それに耐えた。
 キスを拒まれた貝塚は口元から、首筋へと狙いを移した。
 首の付け根から耳たぶの辺りへ向かって、ゆっくりと舌を這わす。

「うくっ……ぐっ……」

 樫田はくぐもった呻き声を漏らし、身を震わせた。
 その隙を突いて貝塚は彼を押し倒した。
 そのままペニスを尻に敷くようにして、馬乗りになった。
 目を怒らす樫田に艶かしい笑みを送り、ブラジャーを脱ぎ捨てる。
 乳房が零れるようにして姿を現すと、男根は激しく脈を打った。
 心に反して、身体は本能に忠実だった。
 瞳は豊満な胸の膨らみを捉えて離さず、血流は股間へ向かって止まない。
 貝塚は、腰を前後に揺らして、尻たぶでペニスを軽く扱いた。

「くうっ、ううう……」

 快感を堪える樫田が、苦しげな声を上げた。

「ふふ、もう降参かしら?」

 笑いながら、貝塚は両腕を彼の胸元へと伸ばした。
 ぷくりと膨れ上がった乳首を摘んで、指の間で転がす。
 弾けるようにして、快楽が迸り、樫田の身体が大きく痙攣を起こす。
 その姿をくすくす、と笑いながら貝塚はしばし乳頭を弄んだ。

「あう、うっ、ふぐっ……ううう……!」

 樫田は時折喘ぎを漏らしつつ、身を捩るばかりだ。
 貝塚の奏でる快楽から逃れる術はなかった。
 それでも耐えなくてはならない。
 それだけが、弥生への愛情を証明する手立てだった。

「や、やめ……離せっ……!」

 苦しげな表情で、唸るように声を上げる。
 それを全く意に介さず、貝塚は笑みを深めた。

「まだまだ愉しめそうね」

 言って、貝塚は一度乳首を離してやった。
 その突起は、先に比べて一段と肥大していた。
 指先で数度小突いた。

「あうううっ……!」

 樫田はたまらずにあられもない声音を上げた。
 胸元から脳天へかけて、甘い痺れが突き抜けていた。

「凄い感度ね。女の子の大事なところみたいになってるわよ?」

 その言葉に劣情を覚え、彼女の言う『大事なところ』へ目をやってしまう。
 樫田の脳内では、まだ見ぬそれに対して淫猥な想像力が働いていた。
 生唾を湧かせながら、息を荒げる。
 正気を失ったかのように食い入るような目付きをショーツに向けていた樫田だが、貝塚の艶っぽい笑い声で我に返った。
 彼が顔を上げると、
 貝塚は自身の乳房に手をやった。
 豊満なそれをむにむに、と見せ付けるように揉みながら言う。

「今度は私のこれで虐めてあげようかしら」

 上体を寝かせて、樫田に覆い被さる。
 胸板に、むにゅっと柔らかな感触が広がると樫田は熱っぽい吐息を漏らした。
 そこへ更なる快感が襲う。
 貝塚は鮮やかな桃色をした乳首を、彼のそれに擦り付けていた。
 突起が触れ合う度に、樫田の身は大きく跳ねた。
 それを押さえ付けるようにしながら、貝塚は互いの乳首を擦り合わせ続けた。

「くすっ……。おっぱいで虐められるの、そんなに気持ちが良いの? 本当に変態ね」

 樫田の耳元で囁き、そのまま耳に舌を這わせ、甘く噛んだ。
 嘲笑めいた物言いを否定する間もなく、彼は嬌声を上げてしまった。
 尻敷かれたままの男根は、これ以上なく膨れ上がりながら、だらだらと我慢汁を滴らせている。
 僅かに火照った息を吐いた貝塚は、ゆっくりと身を起こしながら言う。

「そろそろ良いかしら?」

「う、う、ふう、うっう……」

 その言葉が意味するところを悟り、樫田は首を小さく振る。
 しかし、彼の身に乗ったままで貝塚がショーツに手を掛けると、目線は再びそこへと釘付けになっていた。
 陰毛が露になると、樫田は生唾を湧かせながら、鼓動を高鳴らせた。
 精神は未だ怒りに滾っているが、肉体はとうの昔に彼女の虜となっていた。
 ペニスは快楽を求めて切なげな疼きを発する。
 淫蕩な薄笑みを浮かべた貝塚が、女陰を肉棒へと押し付ける。
 柔らかく湿りながら、熱を帯びたそれの感覚は、途方もない肉欲を喚起させる。
 挿入したい。その衝動と貝塚への敵意がせめぎ合う。
 
 樫田の表情に葛藤を認めて、貝塚は恍惚として目を細めた。

「ふふっ……さあ、おねだりしてみなさい」

 そう告げて、彼女は樫田を責め始めた。
 腰を前後に揺らして、陰裂をペニスへ擦り付ける。
 同時に、乳首を指先で撫で転がす。

「あっ、あ、あああぁっ……!」

 樫田の口から上がった震える声音はこれ以上なく官能的な色を帯びていた。
 込み上げる快感と劣情は、炎のように脳を焦がしていく。
 気付けば、樫田は自ら腰を動かしていた。
 僅かに身体を浮かせた貝塚の性器へと自身の怒張を押し当て、前後させている。

「ふふっ、入れたいわよね?」

「うくっ、ぐ……ううう……!」

 貝塚の顔を睨みつけながらも、樫田の首は縦に動いてしまう。

「言葉で示せば……入れてあげるわよ? ……ほら、言いなさい」

「あっ、あ、ああ……いっ、入れたい……!」

 意に反して漏れ出た言葉を否定するように樫田は口を一文字に強く結ぶ。
 
 彼のそんな表情を愉しみながら、貝塚はペニスを指先をあてがい、角度を合わせた。ちゅくっ。
 湿った音が響き、肉棒の先が蜜壷に飲み込まれる。
 柔らかな媚肉の感触に樫田は顔を蕩かすが、貝塚はそこで動きを止めて言った。

「すぐそこに菅野さんが居るのに、本当に良いの?」

「あ、あ、あ……」

 ややしばらく、吃音を繰り返した後、樫田は言った。

「い、嫌だ……止めろっ……!!」

 果たして、それは弥生への想いから誘惑を撥ね退けての言葉だったのか。あるいは、倒錯的かつ被虐的な快楽を得んとしての言葉だったのか。
 どちらにせよ、結果は変わらず、貝塚は腰を沈めるのみだった。
 亀頭に中途半端に被せられていた包皮は、膣口の強い締め付けによって剥かれ、矮小な男根は媚肉に包み込まれる。

「ああああぁっ!!」

 甲高い嬌声に続いて、樫田の全身が大仰に打ち震える。
 挿入の刺激によって彼は絶頂を迎えていた。
 どくどくと脈打つペニスからは大量の精液が放たれ、腰の奥から広がる快楽の波が全てを飲み込んでいく。

「あーあ、とうとう出しちゃったわね。大好きなあの子の前で、他の女に犯されて種汁搾り取られる気分はどうかしら?」

 意地悪く尋ねる貝塚だが、その言葉は彼には届いていなかった。
 快楽に浸された頭は真っ白に染まり、何ら思考することはない。
 更なる快感を求めるばかりだ。
 先の射精がまだ収まっていないにも関わらず、樫田は腰を上下させ始めていた。

「……これじゃあ面白くないわね。少し正気に戻りなさい」

 そう言って、貝塚は彼の頬を平手で打った。
 その衝撃は、目論み通りに彼を幾分か冷静にさせた。
 目をぱちくりさせた樫田が、視界の端に茫然自失としてへたり込む弥生の姿を認めて、声を上げる。

「やっ、やめ、い、いやだっ!!」

「そうそうそれで良いのよ。ほら、気持ち良いでしょう? 嫌いな女に犯されながら、精液びゅーびゅー垂れ流すの」

 貝塚の言葉通り、射精は連続して起こっていた。
 何度絶頂を迎えても怒張は萎える気配すら見せず、快楽の波は引くことがない。
 尋常ならざる状態だが、樫田がそれに気付くことはない。
 思考は混沌としていた。
 弥生への愛や、貝塚への怒り。快楽への欲求。もはや理由さえ思い出せないものの、依然として心に残る、官能に抗わなくてはならないと言う使命感。
 それらが湧いては消えてを繰り返しながら、頭の中をぐるぐると巡っていた。

「ああっ、あ、あああ……!」

 肉体は止め処なく続く射精の快感に侵されていた。
 手足は痺れ、だらしなく開いた口からは大量の唾液が滴り落ちる。
 視界は焦点がぼやけ、あらゆる音は遠く聞こえる。

「あ……ふふ……良いわよ、もっと、もっとたっぷり吐き出しなさい」

 そこまで追い込んでなお、足りないと言わんばかりに貝塚は責めを激化させる。
 全身を大きく跳ねさせながら、激しい抽送を繰り返す。
 女陰から滴る淫らな蜜が湿った音を響かせる。
 充血して膨らんだ膣壁が柔らかに男根を包み込み、扱き立てる。
 屹立した肉棒を撫で上げる凹凸の感覚は、堪らなく甘美なものだった。
 びゅるっ、びゅくっ、びゅるる!
 樫田のペニスは絶えず甘く痺れながら、精を噴き出し続けた。
 幾重に湧き上がる絶頂の悦びは、絶えることがない。
 生殖器は内外を問わずに性感に打ち震えて止まない。
 異常な連続射精に、睾丸に痛みが生じるも、それすらたちまち快感に変わってしまう。
 次第に手足の感覚が無くなり、視界が黒ずみ始めた。
 樫田は、死んだようにぐったりと脱力するが、肉棒だけは勃起を保ち、快楽だけが彼の中に残っていた。
 
 肉体はいよいよ限界を迎えんとしていた。
 意識が途絶える直前、樫田は何者かが部屋の戸を開いた気配を感じた。
 ――どうして彼女が。
 視力のほとんどは損なわれていたが、その人物の顔は理解出来た。
 松丸知奈の姿を認めたのを最後に、樫田の意識は完全に途絶えるのだった。



 後には何も残らなかった。
 
 一人の教師と二人の学生が姿を消したことに気付く者はなく、また、再教育制度などと言うありもしない制度が、まるでかつてから実施されていたと思い込んでいたとは、弥生も含めて誰の記憶にも残っていない。



おわり

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11.ボンテージ


 儀式、と俺は呟いた。
 それに対して茜が小さく頷く。

「呪いを払う為の儀式……なのだけど」

 途切れた言葉の続きを待つが、茜は閉ざした中々口を開こうとはしなかった。
 あまりに長く沈黙が続くせいで、俺が不安を覚え始めた頃だ。
 彼女はようやく、声を上げた。

「箱の中身はね、私が用意したの」

「儀式に必要なのか?」

「そう。……だけど、何が必要なのかは人によって変わる」

 茜はそこで再び黙ってしまった。
 雨音だけが響く静寂の中で、俺は言葉の意味を考えた。
 性なる力の儀式。紙にはそう書かれていた。それを執り行うのに必要な道具は人によって変わるのだと、茜は言った。
 それは何に因って決まるのだろうか。
 性的嗜好か、あるいは俺の知らぬオカルティックな事柄か。
 後者は考えるだけ無駄だ。俺はそこら辺に関しては明るくない。
 前者を念頭に置いて、俺は箱の中身を見やった。
 革製と思しき黒光りする衣装や拘束具を認める。
 これは茜の嗜好か、あるいは俺の願望に基づいて用意されたのか。
 
 俺の視線に気付いたらしき茜が、そっと箱を自身の手元へ引き寄せてから言う。

「あのね……今までは郡山くんの発する陽の気で、呪いの力を抑えつけていたのだけれど、その反動が出ちゃったのが、今の状況なの」

「そうか。発作は抑えられても、消すことは出来ていなかったんだな?」

 こくり、と頷き、茜が言葉を続ける。

「だからね、こうなったら呪いの力ではなくて、呪いそのものに対処する必要があるの」

「そうは言っても、茜。俺が如何に興奮したところで、力を抑えるのがやっとなんだろう?」

「そう。だから……二人分」

 茜は薄っすらと頬を紅潮させていた。
 二人分。もちろん一人は俺だ。残るは、茜自身なのだろうか。
 俺は背筋をゾクゾクとしたものを駆け上がっていくのを認めた。
 彼女が告げたところを、言葉による思考に先んじて、直感で理解したが故の反応だった。
 陽の気は、性的興奮やその発散によって生じるらしい。
 つまり、茜は箱に詰められた性具の類によって、己の肉欲を満たしつつ、俺のそれをも満たそうと言うのだ。
 俺はごくりと生唾を飲んだ。
 拘束具はどちらが着けることになるのか。俺か? 俺だろうな。
 ムラムラとした感情が湧き上がり、股間に血が巡る。
 膨らんだそこへ、茜がそっと手を伸ばす。
 柔らかに撫でつけながら、彼女は問う。

「どんなに意地悪なことをしても、私のこと、嫌いにならない?」

 俺は一瞬返答に困った。
 これから彼女が何をするつもりで居るのかが分からなかったからだ。
 頭を一つ掻いて、俺は口を開いた。
 質問の意図を考慮しなければ、他に言うことはない。

「もちろんだ」



 件の箱を持って部屋を出た茜が、再び俺の下へ戻って来たのは、数分が経ってからのことだった。
 俺は目を丸くして、次に息を呑んだ。
 その装いは美しく扇情的だった。
 エナメル加工によって黒光りしたボンテージ。
 露出した白い四肢が艶かしく輝き、端整な顔立ちは薄く紅潮していた。
 茜にされるのなら、どんなことでも興奮出来るが、その根源にあるのは雄としての本能だ。すなわち、雌を孕ませ、子を成すことへの欲求だ。
 それをここまで刺激するとは、襲われても文句は言えない。
 俺は飛び掛るようにして茜の身へと手を伸ばすが、凍り付いたように動きを止めた。
 ピシャッ。
 何かが弾けるような乾いた音が部屋に響く。
 見れば、茜の手には一条鞭が握られていた。
 それがもう一度、フローリングの床へと振り下ろされる。
 より鮮明に響き渡ったその音色に怯みながら、俺は口を開く。

「あ、茜はこれは一体どういう……」

 鞭の先を左手にやって、ぺちぺちと鳴らしながら、茜は微笑を浮かべた。

「見て分からない?」

「いや……エッチな雰囲気はビンビンに感じ取っているが……。具体的には何をするんだ」

「……強いて説明するなら、私も郡山くんも気持ち良くなれること、かな」

 俺は呆けたような顔をしていたに違いない。
 よもやデートがSMプレイに変わるとは思いもよらなかった。
 ボンテージ姿の茜は女王様ぜんとした雰囲気を醸しながら、俺の身体に手を伸ばす。
 細く白い指が、衣服と共に理性を剥ぎ落していく。
 何と言うことだ。
 自慰によって散々処理したはずの性欲が、むくむくと湧き上がってくる。
 下着姿にされるまでの間に、ペニスはすっかり臨戦態勢を取っていた。
 このまま、肉欲に溺れ、浅ましく快楽を貪りたい。
 されるがままに、茜の手で責め立てられたい。
 そんな衝動がふつふつと込み上げてくる。
 俺はそれにすべてを委ねんとしていたが、一つ気に掛かることがあり声を上げた。

「あ、茜……?」

「なあに? 郡山くん」

 じっと茜の顔を見つめる。
 彼女は無理をしているのではないか。それが気掛かりだった。
 艶やかな黒髪に彩られた端整な顔立ちに浮かぶ微笑。そこに不調を堪えているような気配はなかった。

「身体の方は大丈夫か?」

 念押しに、そう問い掛ける。
 茜は小さく頷き、それに応えた。

「そうか……。ならば遠慮はいらないな。さあ、茜! 脱がせてくれ!」

 そう告げると、茜は小さく唇を尖らせた。
 鞭の先を俺の股間へとやって、睾丸をニ、三軽く打った。
 僅かな痛みと背筋がゾクゾクと震えるような被虐的な興奮が俺を襲った。

「脱がせてください、でしょ?」

 俺は震える吐息を一つ漏らしてから、彼女の言葉に習って『おねだり』をした。
 茜が満足げな笑みを浮かべて、俺の下着に手を掛ける。
 ずり下げられた下着から姿を現した男根は、今にもはち切れそうに怒張していた。


12.ぺちぺち


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10.融解


 僅かな理性が弥生の存在を意識に留めさせるが、身体は本能に従って動き始めた。
 自らも舌を伸ばして、貝塚のそれに絡み付かせる。
 堕ちいく彼の姿に、貝塚は愉しげに目を細めた。
 彼女は口淫めいた接吻を続けながら、立ち位置を変えた。
 互いに舌を伸ばし、唾液が滴るのを気にも留めずに貪り合う様を弥生へと見せ付ける。
 
 性愛の何たるか、その上辺にほんの少し触れたばかりの初心な少女にとって、どれほど酷であったか。
 しばし茫然自失としていた弥生の瞳から涙が零れ落ちる。
 
 彼女のそんな姿を視界の端に捉えてなお、樫田の身体は色香に溢れた女教師を求めて止まない。
 罪悪感を認めながら味わう背徳の悦びは、今日へ至るまでに散々刻み込まれきた。
 男根は痛みを覚える程に硬く反り返り、更なる官能を求めて疼きを放っていた。
 彼の発情を見透かしたように、貝塚は制服へと手を掛けた。
 
 布が肌に擦れる、その些細な刺激でさえも性感となってしまう。
 そんな状態で、抵抗など出来るはずもなく、樫田はされるがままに脱衣させられていった。
 最後に残された下着は、怒張するペニスに押し上げられて膨らんでいた。
 その先端は湿っている。
 貝塚はその中へ白い手を滑り込ませた。
 しなやかな指がゆっくりと這うようにして、睾丸を捉える。
 それを優しく揉みながら、くすりと笑った。

「相変らず、勃起だけは上手ね」

 妖しげな声音は脳へと染み渡り、更なる劣情を喚起させる。
 ペニスは激しく脈打ちながら、甘く痺れるような疼きを放つ。
 狂おしいまでに肉体は快楽を求めて止まないが、欲求に全てを委ねることは出来ない。
 吹けば消し飛ぶ程に薄っすらではあったが、理性はまだ残っている。
 意識は、両手で顔を覆って泣いている弥生の姿を認めていた。
 気が触れるほどの劣情に襲われながらも、樫田は口を開いた。

「や、弥生には……何も……しないでくれ……!」

 自身が貶められるのは避けようが無いと諦めていた。それならば、せめて弥生だけでも救いたい。その一心から言葉だった。
 彼の言葉を受けて、貝塚は目を丸くさせた。
 ややあってから彼女は、満面の笑みで樫田の頭を撫でた。

「良い子ね。私が教えてあげたこと、良く理解出来てるわ。……彼女を蔑ろにしちゃ裏切る気持ち良さは味わえないものね」

 樫田は反射的に違うと否定するが、貝塚ばかりではなく、己の肉体までもがそれを嘲笑う。
 頭を離れた手によってずり下げられた下着から、飛び出すように陰茎が姿を見せる。それは腹に引っ付かんばかりの勢いで勃起していた。
 
 その先っぽで、つぼみの様に窄まっている包皮を、貝塚が指先で摘み上げた。
 彼女は弄ぶようにしてそれを数度引っ張った。
 その度に樫田の口元からは、あられもない声音が上がった。
 極限まで発情し敏感になったペニスは、如何なる刺激をも快楽として受容してしまう。望まざる官能的な心地良さが樫田の身をじわじわと蝕んでいく。
 
 それでも彼の心を砕き切るには、至らなかった。
 これ以上醜態を晒す訳にはいかない。樫田はそう考え、快感から逃れんとして腰を引いた。
 どこな意地悪なものを含んだ玲瓏な笑みを浮かべて、貝塚はペニスを手放した。
 それに固執せずとも、性感帯は幾らでもあるのだ。
 鮮やかな舌を大きく伸ばして首筋に這わせ、細い指の先を乳首へと突き立て優しく引っ掻く。

「あうっ……く、ううう……」

 幾らか甘い刺激を与えれば、それだけで彼の身体は制御が効かなくなる。
 性感に打ち震える肉棒から、とぷっ、と透明な粘液があふれ出した。
 貝塚は追い討ちを掛けるように更に激しく乳頭を弄び、首へと吸い付く。
 首筋に鈍い痛みの混じった刺す様な刺激が走り、胸元には桃色の痺れが広がっていく。
 樫田は下半身を見っとも無く震わせ、程なくして膝を着いた。
 そこへ貝塚が身を屈めた。それから、樫田の目線の先にある襟元を緩めた。
 豊満な胸の谷間と、それを彩る清楚とは正反対の色情をそそり立たせる為だけに存在するような下着の一部を見せ付ける。
 樫田の目が見開かれ、全身が大きく脈を打った。
 込み上げる途方も無い劣情が、彼の思考を一瞬全て白く染め上げた。
 
 どうして良いのか分からない、と言った呆けたような顔つきで、貝塚を見上げる。
 目が合うと彼女は淫蕩を体現するかのような笑みを浮かべ、樫田の頬を捕らえて上を向かせた。
 白い指が、ぎゅっと頬を押して彼の口を開かせた。
 それは餌を待ち侘びる雛の様な姿だった。
 そこへ目掛けて貝塚は唇を窄ませた。
 唾液の雫がせり出し、ぽたりと落ちる。更に続けて二滴。
 キスの際に舌と共に流れ込んで来る唾液を受け入れるのとは、また違った興奮があった。
 樫田の胸には、卑屈なものを含んだ倒錯的な劣情が込み上げていた。
 その肉体がビクビクッと脈を打つ。
 感情の高ぶりに因る反応の域を越えて、全身が官能の波に晒されていた。
 鼓動に合わせて男根が上下に大きく揺れる。
 その先端からは止め処なく我慢汁が溢れ出していた。

 樫田は身動きが取れずにいた。
 自身の肌が触れ合う刺激でさえも、絶頂への引き金となりかねない程に身体の至るところが過敏になっていた。
 濡れそぼった大きな瞳に見下ろされているだけで、甘い疼きが込み上げて止まらなかった。
 荒い吐息を漏らすばかりの樫田に、貝塚は小さく笑いかけて背を向けた。

「はあ……は、あっ……あ、あぁ……や、やめっ……」

 弥生へと向かう貝塚に対して、弱々しく声を上げる。
 貝塚は振り返らずに言う。

「ふふっ、そんなに心配しなくても何もしないわよ。彼女には、ね」

 含みのある物言いに、樫田は不安を覚えるが、だからと言って何が出来るでもなかった。
 身の内から襲い来る官能的な痺れに耐えるので精一杯だ。
 貝塚が近付くと、弥生は涙に濡れた顔を上げた。
 そこに浮かぶ表情には悲観の色が強く滲んでいた。
 弥生を見下ろし、貝塚が言う。

「泣いているばかりで良いのかしら? このまま何もせずに彼が堕ちていくのを黙って見ているだけなら、今日へ至るまでの日々など無かったも同然……私はそう思うわよ?」

 ――彼女は何を言っているのか。
 弥生は呆けたように口を半分開いた。
 自らこんな状況を作り出しておいて、今更教師ぶるような台詞を投げ掛けてくるとは思いもしなかったのだ。
 
 貝塚は、困惑する弥生を愉しげに眺めつつ、その身を拘束していた縄を解いてやった。
 
 目をしばたたかせるばかりの弥生は、どうして良いのやらと言った様子で、おずおずと立ち上がった。
 普段のそれとは比べ物にもならない、異様なまでの色香を放つ貝塚を前に硬直し、抵抗も出来ぬまま下着姿にされて縄を掛けられた時には生きた心地がしなかったものだが、身の自由が利くようになると恐怖心は徐々に覚めていった。
 直面している状況自体には変化がなく、足が地に着かないものの、その度合いはずっと軽いものになった。
 弥生は全裸で身を震わせている樫田と、薄笑みを浮かべている貝塚を交互に見やった。
 それから、身の処し方を考えた。
 樫田と貝塚の関係が良からぬものであるなら、それは浮気であり、この状況は修羅場と言える。しかし、相手が教師であることに加えて、どうにも得体が知れない。
 異性愛者である自分までもが、彼女の放つ色香に当てられると性的な興奮を催してしまう。それは筋道の通った肉体的、精神的な反応であるとは考え難かった。
 強引に本能を剥き出しにされるような感覚は、道理に反している気がした。
 彼女は一体何者なのか。
 それを考える内に、弥生はあることに気付いた。
 ――そもそも自分は図書室にいたはずだが、寮へと戻った記憶はない。
 思わず口が動く。

「あ……貴女は一体……。ほ、本当に貝塚先生……?」

「ふふ。さあ、どうかしら」

 そう嘯いた後に、貝塚は言う。

「それより、彼の心配をしたらどう? もう射精したくて堪らないって顔してるわよ? ……なんなら、いつもはどうやっておちんちんを可愛がっているのか、見せてあげても良いけど、悔しくない?」

「何を……」

 事態は単なる色恋沙汰ではなく、怪奇な様相を見せ始めている。
 それを引き起こしている貝塚自身はともかく、弥生に樫田の貞操へと気を割く余裕はない。
 本人もそう自覚しているものの、加速度的に膨れ上がる一つの感情を認めずにはいられなかった。嫉妬だ。
 それは、劣情を強引に湧き立たせられたのと同じく、不可解な力が作用している様だと弥生は感じた。
 このおかしな感情の変化に惑わされてはいけない、自らに言い聞かせるも、頭が朦朧としてくるような、強大な嫉妬心を抑えてはいられなかった。
 もはや理性による歯止めは利かず、とにかく樫田の心が自身に傾いているのだと証明しようと、身体が動き出す。

 相変らず込み上げるものに耐え続けている樫田の前に、弥生がしゃがみ込む。
 その姿を眺めて、貝塚は目を細めた。
 弥生は怒張し脈打つ男根へと手を伸ばした。
 
 手の平がそこに触れると、樫田は肩を大きく跳ね上がらせた。
 空気の流れでさえも性感となり得るほどだったが、不思議と射精は起こらなかった。
 それどころか、幾分興奮が覚めていくようだった。

「弥生……?」

 顔付きにも理性が戻るが、今の弥生にとって、それは好ましくないことだ。
 貝塚によって成された以上に、彼を興奮させなくては、自身の優位を証明出来ない。
 弥生は何も言わずに、手にしたペニスを扱き始める。

「うっ、くっ……な、何を……」

 戸惑いを口にする樫田だが、身体は快楽を認め、甘い痺れに苛まれ始める。
 弥生の手は亀頭のくびれを重点的に責めるように動いていた。
 それに合わせて包皮が剥けたり戻ったりを繰り返す。
 先端に滲んでいた我慢汁は伸び広がり、ぬちゃぬちゃと音を立てながら糸を引いている。
 少女の細い指に扱き立てられる男根は、甘い痺れに飲み込まれていく。
 樫田は、蕩けたような表情を浮かべている。
 それでもまだ足りなかった。
 貝塚の誘惑を受けている最中の、絶頂寸前と言った様子で恍惚としている姿には劣っていた。
 
 片眉を上げた弥生が、じれったげに吐息を漏らしつつ、男根を解放する。

「はあ、はあっ……。や、弥生、どうしてこんな……」

「……良いから、渉はじっとしていて」

 目も合わせずにそう告げた彼女が、身を屈める。
 指先で愛でていたペニスへと顔を寄せる。
 屹立した生殖器に火照った吐息が触れると、それだけで樫田の口からは嬌声めいた呻きが上がった。
 震える声で彼が言う。

「弥生、ま、待って……!」

 彼女の唇は、肉棒に触れるか否かと言った距離にある。
 口淫へと移行するであろうことは、容易に想像出来た。
 先に行われた貝塚と弥生のやり取りは聞いていたが、何故ここまで挑発を真に受けているのか。不自然なまでに迫ってくる想い人に対して樫田は困惑を隠せなかった。
 
 そんな彼の意識に気をやることもなく、弥生は中途半端に包皮の剥けた男根をぱくりと咥え込んだ。
 樫田の口からは甘い声音が上がった。

「んくっ、ふっ、ううう……!」

 温かく湿った口腔に敏感なペニスが包み込まれるのは、至高の快感を彼にもたらしていた。
 それでも絶頂へは至らなかった。
 弥生はその事に筆舌に尽くし難い苛立ちを覚えた。
 貝塚に対しては、包皮を弄ばれるだけで今にも果てんばかりに身悶えていたのが、口まで使っている自分に対しては、喘ぐばかりだ。
 怒りに身を任せるままに、ペニスを口腔で扱き立てる。
 口内にて、舌を用いて包皮を綺麗に剥いてやり、頭を前後に揺らす。
 ちゅくぷっ、くぷ、くぷ。
 瑞々しい唇に、男根が飲まれて吐き出されてを繰り返され、湿り気を帯びた音が室内に響く。

「あっ、あ、ああ、ああぁ……!」

 樫田の全身が大げさな程にビクビクと震え上がる。
 ある種献身的な責めに、彼は為す術も無く飲み込まれていく。
 ペニスの先からは、その身が枯れ果てんばかりに先走り汁があふれ出し、弥生の口元から唾液と共にポタポタと滴り落ちる。
 樫田は甲高い声を上げて、身を仰け反らせた。
 視線を下方へ向ければ、清流の様な髪を揺らしてペニスをしゃぶる弥生の姿が目に映る。
 この状況をすんなりと受け入れることは出来ないが、鼓動は高鳴り、思考は興奮で白く染まっていった。
 弥生が唾液や我慢汁を、じゅるじゅると音を立てて啜りながら、ペニスを強く吸い上げた。
 その快感は背筋を伝い脳へと至る。
 脳内に広がる多幸感に酔い痴れ、樫田は蕩けた顔を浮かべた。
 ややしばらく、弥生は彼のペニスを口腔で責め続けたが、それ以上の反応――つまり、絶頂はおろか、その前兆すらも引き出すことは出来なかった。
 
 徒労感に、顎の疲れも相まって、弥生はとうとう顔を上げた。

「どうして……」

 切羽詰った表情で彼女は言った。
 
 その悲痛な面持ちは、樫田を動揺させると同時に、酷い自己嫌悪をもたらした。
 唾液で濡れそぼったペニスは今にもはち切れんばかりに膨らんでいる。口淫の最中も確かに快楽はあった。
 もうしばらく刺激が続いていれば、射精へ至れたかも知れない。
 失意の弥生を前に、居た堪れなさを感じる樫田は、そんな希望的観測に縋らざるを得なかった。

「や、弥生――」

 名を呼ぶ声音は、半ばで遮られた。
 替わって彼の口から上がるのは、苦しげなものを含んだ吐息だった。

 彼は、貝塚の足によって床へ押し倒されていた。
 胸板に乗せた細い脚を左右に捻りながら、彼女は弥生を嘲笑う。

「生娘の割には良く頑張った方ね。でも残念。あんな生易しいやり方じゃ、もう満足出来なくなっちゃってるのよ、彼」

 樫田は「違う」と声を上げたかったが、喉から出たのは、喘ぎにも似た妙な音だった。

「そんなの……嘘……!」

 震える声で言いながらも、弥生の目には、しきりに脈打ち、我慢汁を滴らせる男根が映っていた。

「嘘かどうかは……そこで見ていなさい」

 そう告げるなり、貝塚は樫田の両足を掴んで、脇に抱えた。
 すらりとした脚が樫田の股に差し込まれる。
 黒いストッキングに包まれたつま先がペニスを押し潰す。

「あっ……あうっ、あああぁ……!」

 樫田は嬌声を上げて身を震わせた。
 肉棒を踏み付ける足から逃れんとする意識も残っていたが、身体は言う事を聞かなかった。
 弥生から口淫を受けている間に感じていたもの以上の、甘い疼きが全身に響き渡っていた。
 あられもない声を上げる彼を見下ろして、貝塚は小さな笑みを零した。
 つま先が前後に動き始める。
 唾液と我慢汁でぐっしょりと濡れたペニスを足裏で扱かれる。
 樫田の嬌声はますます甲高くなっていった。
 それは明らかに、弥生が彼の身を責めている最中よりも、強い興奮と快感を示していた。
 樫田自身、それを分かっていた。
 それ故に声を押し殺そうとするも、そう努める程に、媚びるような甘い喘ぎが漏れ出してしまう。
 脚の動きは止まることなく、的確に彼を追い詰めていく。
 親指が雁首の裏筋を撫で、かかとは先走り汁を搾り出すように、根元から頭へと向かって圧を加える。
 睾丸はきゅっとせり上がり、今にも精を尿道へと流し込まんとしていた。
 絶頂へ至る寸前の心地良く甘ったるい感覚に、樫田は酔い痴れていた。
 その顔は蕩け切っている。
 それでもなお、弥生へと気を割く意識はあった。
 そうは言っても、声を抑えることはおろか、迫りつつある射精から逃れる術すらない。
 出来る事と言えば、目を瞑ることのみだった。
 股座から顔を上げた彼女が見せた表情を思い返すと、胸が締め付けられるようだった。今、彼女が如何なる顔をしているのか。それを知るのが怖かった。
 
 無心で瞼にぎゅうっと力を込める樫田だが、眼前の辺りで何かが動く気配を認めて薄目を開いた。
 何かが顔面に影を作っている。
 すぐに足だと分かった。
 それと同時に、踏まれていたはずのペニスが解放されているのに気付いた。
 足元側に立っていたはずの貝塚は、何時の間にやら正反対の位置に居た。
 樫田の脚は依然として彼女が抱えたままで、身体は『くの字』のように曲げられている。俗に言う「ちんぐり返し」の格好に近い。

「なっ、なんで」

 彼が小さく呟いた後、貝塚はその顔を踏み付けた。
 ペニスを弄んでいた彼女の足は、体液に濡れていて然るべきはずだが、そこに湿り気は無かった。
 貝塚の放つ甘く淫靡な香りを濃縮して、そこに生々しい蒸れたものを含ませたような匂いが鼻腔を抜けて、肺を満たす。
 どくんっ、と鼓動が大きく鳴った。
 次いで視界が歪む程の興奮が彼を襲う。
 男根が大仰に打ち震える。そこから、ぴゅっ、ぴゅ、と数滴の我慢汁が放たれた。
 腰の奥からは熱い物が込み上げてきている。
 それに呼応するかのように、今日へ至るまでに貝塚から受けた躾の記憶が繰り返し再生される。
 罪悪感や背徳感。それに伴う倒錯的な快感。
 彼はそれらを刻み込まれてきた。
 
 禁忌の甘味を覚えてしまっている樫田は、無意識の内に弥生へ目を向けていた。
 貝塚の足によって視界の大半は遮られているが、弥生の表情は良く見えた。
 それは呆然としているようにも、悲しみに暮れているようにも思えた。
 どちらが正解であるにせよ、彼女の中にある想いは消えていなかった。
 樫田はそのことを直感で理解出来た。
 頭がくらり、と揺れるような心地がした。
 こんな状況にありながらも、見限ることなく心を寄せてくれている少女を前にしながら、別の女に発情している。
 それはまさしく裏切りに対する仄暗い悦びだった。
 ペニスの付け根辺りで渦巻いていた熱い物が、出口目掛けて殺到する。
 鈴口から白いものが噴き上がるまでの一瞬、樫田と弥生の視線が交錯した。
 
 彼女の縋りつくような眼差しに、全身が強張った。
 傷心する弥生の姿に、樫田は自虐的なものを内包した被虐感を認めずにはいられなかった。
 大切な想い人を傷つけながら、虐げられる悦びに耽る。
 酷く倒錯的な興奮の中で、樫田は果てた。
 どろり、としたものが尿道を駆け抜けていく。
 その感覚に背筋はゾクゾクと震えて、思考は快感によって真っ白に染まる。
 ぶびゅっ、びゅるっ! びゅっ!
 叩き付けるような勢いで吐き出される精液が、己の身へと降りかかった。
 
 長く続いた射精が止むと、貝塚が脚を上げた。
 手放された樫田の下肢は、何かに支えられているかのようにゆっくりと床へ落ちていった。



11.暗転


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