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ぷるんぷるるん

女の子に気持ち良くいじめられるM男向け官能小説公開中。

34.空き教室

 それから放課後まで、樫田と知奈の間に会話はなかった。
 元より二人の関係に於ける主導権は知奈が握っている。その彼女があからさまに不機嫌な態度を取り、黙っていたのだから然るべき結果だ。
 放課後を迎えても尚、そうした状態が続いていた。
 人の姿が減りつつある教室で、知奈は黙ったまま机に掛けている。
 窓から差し込む光りは赤味を帯びつつある。
 声を掛ける度胸のない樫田は、勝手に寮へと戻る訳にもいかず、ただ呆然と彼女が動くのを待つしかなかった。
 やがて教室から人がいなくなり、二人切りになった。

「……着いてきなさい」

 知奈は、それだけを静かに言って立ち上がった。
 そのしゃんとした立ち姿に見蕩れる樫田だが、彼女が歩き出すと慌てて後を追った。
 知奈が向かったのは、普段は使われることなく閉鎖されている空き教室だった。施錠されているはずのその部屋の扉に彼女が手を掛ける。すんなりと開いた。
 その中へ向けて顎をしゃくり、彼女は言う。

「入りなさい」

 いつになく冷たい印象を受ける声音に、不安を覚えつつも、樫田は「はい」と答えて指示に従った。
 教室には机やロッカーは一つもなく、真ん中に座り心地の良さそうな黒い安楽椅子がぽつんと置かれている。
 その不思議な状態の教室に連れてきた知奈の真意とは一体、と、樫田は彼女を見やった。
 知奈はやや不機嫌そうな顔をして、黙ったままで動こうとしない。
 どうして良いのか分からずに樫田が立ち尽くしていると、知奈は無愛想な表情を浮かべていてもなお美しいと認めざるを得ない顔を忌々しげに歪めて口を開いた。

「何をぐずぐずしているの?」

 少女の言葉に急かされ、樫田は安楽椅子の近くまで歩を運んだ。
 間近で椅子を見て、彼は驚いた。
 それは単なる安楽椅子などではなかった。
 肘掛や足元に拘束具と思しき帯が取り付けられていた。
 知奈がこれから何をするつもりでいるのかを考えて、樫田はしばし呆然として立ち尽くしていた。

「そこへ座りなさい」

 気付けば背後に立っていた知奈の声に、樫田は肩を跳ね上がらせた。

「ま……松丸さん、これは一体……」

「……やっぱりね」

 樫田は知奈が何に対して納得しているのか分からずに、首を傾げた。
 そんな彼を冷たい目付きで睨みながら、知奈は言う。

「貴方……。ここのところ、私に問題があるのを良い事に、何か勘違いしていないかしら?」

「か、勘違い……?」

「ええ。私と対等な関係になったとでも思っているんじゃない? そうでなければ……黙って命令に従うはずよね?」

 樫田は何も答えられずに、黙っているしかなかった。
 確かに、別人格が現れるという非常事態に際して、以前ほど主従関係を意識することがなくなってきていた。

「もう一度命じるわ。そこへ座りなさい」

「は、はい」と答えて、樫田は慌しく椅子に腰を下ろした。
 それから、知奈の瞳を見上げて次にすべきことを悟り、拘束具に手足を通した。
 知奈が帯をきつく締め、樫田の四肢は固定された。
 彼女が単なる暴力を振るうとは考え難いが、身動きが取れない状況は、樫田に身の危険を感じさせた。
 彼が不安げな表情を浮かべると、知奈は冷然とした笑みを浮かべた。

「……これからもう一度教え込んであげるわ。私と貴方の適切な関係とは、どうあるべきかをね」

 樫田の背筋がゾクリと震えた。
 肉体の反応はそれだけではなく、下腹部に血液が流れ込んでいくのを彼は認めていた。
 知奈が上体を傾け、顔を寄せて言った。

「そこで少し待ってなさい」

 樫田はこくりと頷いた。
 ほんの僅かに知奈の口角が持ち上がったのを見て、樫田の胸中では期待と不安の入り混じった複雑な感情が膨らんでいった。
 彼女の去り際に大きく揺れた艶やかな髪から甘い香りがふわりと漂い、樫田の肉棒は一層硬くなる。彼は身動きの取れぬまま、下腹部にズキズキとした心地良い疼きが生じているのを認めるのだった。


35.彼の選択

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