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ぷるんぷるるん

女の子に気持ち良くいじめられるM男向け官能小説公開中。

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12.夜の美少女

 知奈と二人で過ごす為に与えられた部屋へと荷物を運び入れる。
 自分の持ち物を早々に運び終えた樫田は、次に知奈に命じられて彼女の荷物を運んでいた。
 その作業が丁度終わった頃、知奈の身に変化が起こった。
 彼女は気でも失ったかのように脱力し、その場で体勢を崩し掛けた。
 慌てて樫田が駆け寄るも、彼が手を貸すまでもなく知奈は体勢を立て直した。
 どうしたのかと樫田が彼女をじっと見やる。
 美貌は変わらずのままだが、そこに浮かぶ表情は見慣れぬものだった。
 冷たさを失した柔らかな顔付きである様に感じられて仕方なかった。
 ひょっとすると、これが貝塚の言っていた別人格の発露なのだろうか。そんなことを思いながら樫田は彼女に声を掛けた。

「松丸さん……?」

 彼の呼び掛けに対して、知奈が浮かべたのは、冷冷とした美少女にあるまじき笑みだった。
 美人であるとは常々思っていたが、まさか彼女を可愛いと思う日が来るとは想像も付かなかった。樫田はしばし呆然としつつも、眼前の笑顔に釘付けとなっていた。
 そんな彼に対して、知奈は笑みを一層明るくしながら言った。

「久しぶりだね!」

 彼女の言葉で我に返ると同時に、樫田は「え?」と呆けたような声を上げた。
 久しぶりとは一体どう言う意味なのか。
 口に出してそれを問うた訳ではないが、顔に出ていたのだろう。知奈は笑みを困った様なものに変えつつ首を傾げた。

「……あれ? はじめまして、だった……かな?」

「う、うん……多分、そうだよね?」

 樫田がそう言うと、知奈は「へへ」と声を上げて笑った。
 当然の事ではあるが、姿形は全く変わっていない。表情、仕草、雰囲気だけがまるで別人の様だった。
 戸惑いを覚えながらも、樫田は今の知奈を好いと感じていた。美しい容姿とそれに相応しい冷たく近寄り難い言動は、玲瓏たる魅力をかもし出していたが、目の前の彼女が見せている人懐こい笑みは、それに勝るとも劣らない。
 樫田でなくとも一瞬の内に慕情を抱いても無理はないだろう。
 彼が胸をどきどきと言わせていると、知奈は微笑を浮かべたまま言った。

「はじめましてなのかあ……。でも……」

 言葉が途切れてから、やや間があった。
 どうしたのかと樫田が不思議そうにしていると、知奈はにこっと笑って彼に抱き付いた。突然の抱擁に驚く間もなくして、衝撃的な台詞が彼女の口から放たれた。

「でも私、渉のこと好きだよ」

「ま、まつま……」と、樫田が名前すら半端にしか口に出来ない内に、知奈は更に言葉を続けた。

「だから、いっぱい気持ち良くしてあげるね」

 そう言い終えた後も彼女は、にこやかな顔をしている。
 樫田はしばし呆気に取られていた。
 二つの人格をそれぞれ個別の『人』として見なした場合、彼女とは初対面のはずだ。それなのに何故、ここまで好意を向けられているのか。日中の人格と記憶を共有しているのだとしても、好かれる要因は思い浮かばない。
 ――そうすると、何か裏があるのではないか。樫田はそう訝しんだ。
 抱擁を強引に解いたりこそしなかったものの、そうした心境は強張った身体や黙りこくった態度から察することが出来たのだろう。知奈は抱き締めていた樫田の身をやや離して、正面から彼を見やり、笑顔に悲しげな色を滲ませた。

「……嫌かな?」

 物悲しげな声音でそう問われる。嫌と答えられるはずがないし、そもそも嫌ではなかった。樫田は彼女に、何度も吃りながらその旨を告げた。
 知奈は表情を一転させて言う。

「良かった。まあ、嫌って言われても無理やりしちゃったんだけどね」

 笑みに陰りはないが、それは艶を帯び始めていた。


13.遊戯か愛撫か

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